ある知人から「来年はどうするのか?」と、たずねられた。さて、何のことかとキョトンとしていたら、この連載のタイトルのことだという。なるほど、確かに年が明けても名「中洲バトルロワイヤル」の後が「2010」のままではおかしい。かと言って、単純に「2011」とするのも芸が無い。「いっそのこと中洲バトルロワイヤル卯年にするか」と、言ってみたら冷ややかな反応が返ってきた。
ともかくタイトルについては、考えなければいけない。毎度、ご覧になられている読者の方にもお知恵をお借りしたいところだ。
さて、過去数回に渡って、中洲の派遣コンパニオン事情について、いろいろと書かせていただいたが、それらを読んだという現役の派遣コンパニオンから「私にもひとつ言わせて」とのコンタクトがあり、早速取材へ。今回から2回に分けて、派遣コンパニオンから見た中洲の派遣事情をレポートする。
中洲に来るまでは関東圏のキャバクラで働いていたというA嬢は、「中洲の店は開放的な雰囲気がある」と話す。しかし、派遣コンパニオンにとっては別のようで「派遣先の店は完全にアウェイ。店の人から"敵扱い"されるところもあります」と実感を述べた。
A嬢が働く派遣会社では、いつも40~50人のコンパニオンが待機している。経験年数4、5年の子が中心で「素人」は珍しく、派遣一本でやっている子も多いという。したがって、店側からの依頼もまずまずのようで、昨今の景況悪いなかでも「仕事がない」という日は少ないそうだ。
ただし、少々強引なこともしているようで・・・。「この間、最初の派遣先からマネージャーと一緒に事務所に帰っていたら、突然、電話で派遣の要請があって、マネーシャーが『今、すぐ行ける子がいます。年は24です』って言うんです。私、27なんですけどね」(A嬢)。そのやりとりを知っていたから良かったものの、知らずに行って、現場で店側に年を聞かれたらどうなるのかと、疑問を覚えたという。
これはまだ序の口で、なかには「とりあえず行ってこい」と、容姿・年齢に関する店側のリクエストと全く一致していないコンパニオンを突撃させることもあるという。結果、店の入り口でキャンセルされて事務所に帰ってくることが多いが、店側が多忙を極めているなど、状況によっては店内への突入に成功することも少なくはないそうだ。
もちろん、そういう商売をされると店側の不満はふくらむ一方だ。その影響が、現場で働く派遣コンパニオンの扱いにも反映されているのではないだろうか。景気が悪くなるにつれ、店と派遣会社の相互不信は高まるばかり。客側の立場として、目先の欲にとらわれず、WIN―WINの関係で、質の高いサービスを受けたいところである。
長丘 萬月(ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。
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