副島国家戦略研究所(SNSI)主宰 副島 隆彦 氏
やがてBRICs、つまりブラジル、ロシア、インド、中国、この4大国が世界を握っていくだろう。
アジアには、ASEAN(東南アジア諸国連合)という協力体制がある。彼らは、本当は中国が嫌いだが、ASEANに中国、韓国、日本を足したASEAN+3というかたちで東アジア諸国を団結させた。それをアメリカが「我々が世界帝国なんだぞ」と、APEC(アジア太平洋経済協力)をつくって横槍を入れてきた。
今の日本人は、この2つの区別もついていない。そういう戦いを、日本のマスコミは一言も報じない。バカなんだ、今の日本人は。本当のことを、誰かが教えなければならない。
アメリカでは、バーナンキFRB議長が一生懸命、根拠のないカネを刷り散らかしている。一方で、ガイトナー財務長官が米国債(ナショナル・ボンド)、もっと細かく言えば米財務省短期証券(トレジャリー・ビル)を刷り散らかして、お互いにやりとりして実体のないジャブジャブマネーをつくりだしている。
10年9月14日、民主党総裁選で「日本国王」小沢一郎が、アメリカに仕掛けられたインチキ選挙で負けさせられた。それで後ろ盾を失った三井・住友・ロスチャイルドの白川方明日銀総裁は、アメリカの言いなりになってジャブジャブマネーを刷り続けている。白川総裁は人と争わない性格だから、耐えて、耐えて、耐え忍ぼうとしている。
金利はゼロ、ゼロ、ゼロ。アメリカは10年11月現在で0.25%、日本はアメリカに叩き潰されて地獄の底のゼロ金利。日本はかわいそうな国だ。アメリカは、グリーンスパン前FRB議長が一生懸命カネを貯め込んで金利が5.25%まで上がったが、サブプライム、リーマン・ショックでガタン、ガタンと落ちていって、ほとんどゼロになった。なぜそうなったのか、どこにも書かれていない。それは、アメリカの借金があまりにもぼう大で、たった1%でも金利が上がれば、金利の1日の払いだけでも1,000億円近くになるからだ。だからゼロ金利にしている。
日本の借金は1,400兆円ある。そのうち、中央政府の借金が1,000兆円。なのに、アメリカに米国債を買わされて800兆円も流出している。「日本の個人金融資産は1,500兆円」などと言っているが、国内には800兆円、よくて900兆円しかカネが残っていない。「半分でもいいから返せ」とアメリカに言えば、その首相は殺されるだろう。それが今の日米関係だ。
私、副島隆彦は、このもっとも大事なカネの話をずっと本に書いてきた。
<シリーズ一覧>
「副島隆彦の2011年世界の動きと日本経済の大予測」
・(1)2012年に向けて株価は暴落していく
・(2)本当のことを知ろうとしない日本人
・(3)カネはあるのに銀行で止まっている
・(4)世界大恐慌が始まり米国が没落する
・(5)経営者が生き残るには人を育てる
【2010年12月19日「(株)データ・マックス」特別講演会より】
<プロフィール>
副島 隆彦(そえじま たかひこ)
1953年、福岡市生まれ。本籍・佐賀市。早稲田大学法学部卒業。銀行員、代々木ゼミナール講師、常葉学園大学教授を歴任。政治思想、法制度論、経済分析、社会時事評論などの分野で、評論家として活動。日米の政財界、シンクタンクなどに独自の情報源をもち、日本人初の「民間人・国家戦略家」として、日本は国家として独自の国家戦略を持つべきだ、と主張している。副島国家戦略研究所(SNSI)主宰。近著に『日米 地獄へ道連れ経済』(祥伝社刊)、『中国バブル経済はアメリカに勝つ』(ビジネス社)、『悪魔の用語辞典2 日本のタブー』 (KKベストセラーズ)、ほかに『恐慌前夜』(祥文社刊)、『暴走する国家、恐慌化する世界』(佐藤優氏との対談、日本文芸社刊)、『新たなる金融危機に向かう世界』(徳間書店刊)など著書多数。
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