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大倉マンの青春・世界放浪記(7)~人は皆同じ
経済小説
2010年12月21日 13:43

 ボゴタで御厨は、コミュニケーション能力を高めるため、地元で有名なハベリアナ大学の外国人専用スペイン語教室に入った。スペイン語は、日本語にない男性・女性名詞などがあるが、発音は日本人にとって比較的容易な言語。その上、スペイン語の基礎学力があった御厨の上達は早かった。
それで調子に乗って夜の町を徘徊していると、数人の暴漢に襲われ、所持金や腕時計などを奪われた。体も大きく、喧嘩も強いとの自負があった御厨は、最初のうちは抵抗していたが、相手のひとりがナイフを出したので抵抗を断念。ひたすら殴られ、蹴られ続けた。
 後日、学校の友人たちに話すと「何で抵抗するのだ。この国ではそういう場合には、素直に言うことを聞かないと殺されるぞ」と、諭された。さらに辛い出来事は続く――。

 虫歯になった奥歯の痛みがひどくなり、御厨はがまんできず歯医者に走った。医者からは「治療するには手遅れ。抜歯するしかない」と言われ、痛みから解放されたい一心で、抜歯を承諾した。すると、麻酔もせず、ペンチみたいな器具を手に、力ずくで抜こうとしたのである。「それはもう、拷問の域。痛さはたいへんなものだった」と、御厨は苦々しい表情で回顧する。
 その後がもっとたいへん。4、5日間、高熱を出し、安ホテルのベッドで横たわっていたところ、シャワーのお湯が出なくなった。御厨はひとり、涙で枕を濡らした。

 辛いことも多々あったが、御厨は持ち前の明るさ(?)で現地に溶け込み、友人たちを多く作った。たくさんの親切を受け、何度も食事に招待してもらった。そして、ラテン人特有の陽気さで貧しくても心の底から楽しんでいる姿に接し、「人にとっての幸せとは決して物質的なものではない」ということを確信した。
英国でこどもと一緒に撮った記念写真 その後、御厨はベネズエラ、ペルーなどを旅行する。行った先で日商岩井など、数名の日本人商社マンと出会った。厳しい生活環境のなか、水力発電所建設などを遂行する彼らの姿を見て、御厨は魅力を感じたという。遠回りをしたが、ついに御厨は、自分が進むべき道を見つけた。大学卒業後は、必ず商社マンになって再度、海外へ飛び出すことを決めたのである。「大倉マン・御厨」誕生の発端であった。

 "自分探し"の旅を終えた御厨は、ロサンゼルス経由でハワイへ。数日間、ハワイで過ごした。ビーチでぼんやりしながら、今までの海外放浪を回顧した。前進から力が抜け、これまでの旅がまるで夢物語のように感じた。
 旅を通してわかったことはただひとつ。「人は皆同じであること」。御厨にとってこの旅は人生最大の宝物。その後の人生に大きな影響を与えたという。
 ハワイから日本へ向けて旅立つ日、天候は雨。御厨の胸中は、旅を終えることへの淋しさで一杯になっていた。

(了)

【文・構成:山下 康太】

■大倉マンの料理マメ知識

1.揚げバナナ混ぜごはん(南米)
バナナをスライスし、油で揚げて塩を少々。それに加え、スライスして炒めたベーコンやグリンピースなどと一緒にインディカ米に混ぜて食べる。

2.フィッシュ&チップス(英国)
タラなどの白身魚を油で揚げたものとフレンチポテトのセットを新聞紙でくるみ、そこに目一杯のビネガーをぶっかけて食べる。


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