来年(2011年)4月10日に予定されている県議会議員選挙・柳川市区(定数1)に、無所属新人の椛島 徳博(かばしま とくひろ)氏(53)が立候補を表明した。過去2回無投票で当選し、すでに自民党公認を得ている現職の江口 吉男氏(6期目)との選挙戦が始まっている。
椛島氏といえば民主党の古賀一成衆院議員(比例九州)の地元秘書を長年務めてきた、筑後地方では名を知られた人である。椛島氏は古賀議員が自民党時代から私設秘書を務め、古賀議員が落選中も古賀氏を支え、昨年の8月まで公設秘書だった。そして昨年9月から12月10日まで、野田国義衆院議員(比例九州・民主党福岡県連代表)の地元秘書を務めていた。
椛島氏は1957年(昭和32)柳川市に生まれ、県立大川工業高校を卒業し、77年に柳川消防本部消防吏員となり、89年に地元柳川出身である古賀一成氏の私設秘書、90年に古賀氏が衆院議員に当選以来、同議員の右腕として地元で活動。昨年夏に古賀議員の秘書を離れ、9月から野田国義衆院議員の秘書を務めてきた。
椛島氏を県議選に駆り立てたものは何か。椛島氏は過去に一度「県議選に出たい」と思ったことがあったという。その時は出馬を断念したが、今回の決断を後押ししてくれたのは野田議員の存在が大きいとのことだ。本来なら「民主党」で出馬が筋であろうが、椛島氏は無所属で出ることが、地元住民の声や意見を十分に聞くことができるからだと言う。椛島氏は「民主党の支持率が落ちているから無所属で出るのではない」と強調する。「民主党」と言うと最初から構えられ本音が聞けないからだという。また、中央政権は民主党が握っているからといって、地方もそうならなければならないというものでもない。地方には地方の事情があると椛島氏は語る。そうした気持ちや決意を野田議員が素直に受け止めてくれたことにとても感謝している、と椛島氏語ってくれた。
もちろん、出馬の理由はそれだけではない。県内の格差が拡大し、柳川も例外ではなく地盤沈下が進んでいることを長年の代議士秘書として感じているからという。基幹産業である農業・漁業をはじめ、地場の商工業も衰退の一途を辿っていることに強い危機感を抱いている。また医療・福祉・介護、少子・高齢化対策など課題が山積していることを日々感じていると言う。そして「県議会、議員がそれらの課題に応えていないのではないか。こうした行政や政治に対して住民の不信感が拡大している」と椛島氏は語る。それゆえこれらの課題に正面から取り組み、県南の再生と柳川の活性化を成し遂げたいという強い思いを抱き、県政への挑戦を決断した椛島氏である。
久しぶりの選挙戦となる柳川市区。椛島氏は自民党から議席を奪還できるのかどうか。昨年の総選挙での柳川市の自民と民主の得票数をみてみると、古賀誠氏=27,668票、野田国義氏=17,202票。古賀氏が野田氏に1万以上の票差をつけている。これが小選挙区で野田氏が敗北した大きな要因であった。今年の参院選挙でも4,500票余りも自民が民主を上回っている。この数字を見る限りでは、民主党公認ではなく無所属で出馬する椛島氏の戦いは厳しさが強制されている。こうした数字はもちろん承知している椛島氏は、それでも明るさを失っていない。「謙虚に・真面目に・誠実に」が椛島氏の持ち味でもあるし、選挙戦でもそれを前面に打ち出し、「やさしさとぬくもりある政治をめざし」て、郷土の活性化に全力を傾注すると決意を示した。7期目をめざす江口氏との厳しい戦いが始まった。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら