（有）名島産業建設 代表取締役 於保 政美
＜建設汚泥の再資源化製品"N―ライト"＞
建設系無機汚泥の処理をはじめとした産業廃棄物処理業を手掛ける「有限会社 名島産業建設」。掘削工事から生じる泥状の掘削物・泥水など、建設産業廃棄物のなかでも再資源化が困難とされる建設系無機汚泥をリサイクルする技術を12年以上も前にいち早く独自に開発。それら技術を駆使して作られた再生材「N―ライト」は、官民へこれまでに20万ｍ納めた実績を持つ。
1998年に国土交通省新技術"NETIS"に登録され、エコマーク認定も取得した。関連会社の（有）九州インダストの志摩処分場は2005年12月に建設発生土リサイクルプラントとして福岡市の認定を受け、2006年12月には北九州市より建設再生資材として認定を受けている。「長年研究を重ねて汚泥の再資源化を実現するプラントを完成させました。そのプラントで製造されるのが汚泥再生土壌"N―ライト"です。この製品は、骨材、道路路盤材、埋め戻し材をはじめ農地改良や水質改善にも使用され、実績を上げております」と語る於保社長。
土木資材としての使用用途に留まらず、農地をはじめとした土壌や河川の水質改善への使用で、食の安全を守るための農業活性化、水を瑞々しくする自然環境の改善と幅広いジャンルで貢献している。また学術的にも、九州大学大学院工学研究院環境制御工学研究室の島岡隆行教授の研究により、N―ライトは二酸化炭素吸着量が２から３倍という、その優れた結果を証明している。産業廃棄物における入口と出口を最良なで形でビジネスモデルを創り上げた、本物の循環型事業である。
＜不当判決にも負けず、環境保全に尽力＞
同社は、1989年１月に宗像郡福間町（現福津市）本木に産業廃棄物最終処分場を福岡県知事許可のもと設置し、業務を開始した。福間町（現福津市）は1995年７月、県条例に基づき、使用期限を2003年12月末とする協定を締結。だが、期限以降も操業を続けたため、福間町が2004年２月に提訴した。
１審判決（2006年５月）は、使用期限を定めた協定に「法的拘束力がある」として差し止めを命令。だが、控訴審判決は、協定について「（施設周辺の）生活環境の保全を目的としたものにすぎず、期限を定めることは本来の目的を逸脱する」と指摘。使用差し止めは「（監視権限を持つ）県知事に申し立てるべきだ」と判断した。訴訟で同社は「協定に使用期限を明記したのは町側に頼まれたため。疑義が生じた場合、話し合うよう定めており、訴えは不当。また協定は、産廃物処理法に違反する」と主張していた。2007年３月の控訴審で差し止めを命じた１審の福岡地裁判決を取り消し、福津市の請求を棄却。福津市は上告し、差し戻しされ2010年５月の差戻し裁判で、同社が敗訴した。この判決については、行政側の権力により同社がやむなく協定を受け入れたにも関わらず、権利濫用により切り捨てられた結果となった。なお、同社はこの間も法に則り、誠実に手続きを行い操業していた。於保社長は「一点の曇りもない。正当に誠実に対応してきた。当社の主張が届かず無念です」と表明。行政側に屈した結果となってしまったが、真摯に業界革新に向けて環境保全に全力を注ぐ、同社の本物の企業活動を今後も継続することで、近い将来前述の判決が不当であったことが周知されるであろう。
＜プロフィール＞
於保 政美（おほ まさみ）
1939年、福岡県生まれ。65年３月に建材販売ならびに砂利採取、土木工事の於保建材を創業し、72年12月に（有）名島通信建設を設立。83年６月に現社名に変更するとともに、産業廃棄物処理業に参入する。
＜会社概要＞
（有）名島産業建設
代表者：於保 政美
所在地：福岡市東区香住ヶ丘4-9-25
（那の津営業所）福岡市中央区那の津3-55-3
設 立：1972年12月
資本金：1,000万円
ＴＥＬ：092-681-6720
ＵＲＬ：http://www.najima1972.com/
※本稿は以下の書籍に掲載されています。
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