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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (21)
経済小説
2010年12月30日 10:00

 その当時、平成21年3月期に売却するための物件の在庫がたくさんあった。福岡市中央区の国体道路に面した大型土地は、立ち退き交渉が遅れた結果、開発への着手が遅れ平成20年に入ってからは3カ月ごとに何とか借り換えをさせてもらう状況であった。ほかにも福岡市中央区今泉、札幌市中央区北7条などに大きな物件があった。DKホールディングスではこれらを平成20年3月までに証券化することを至上命題としていたが、その命題も懸命な努力にも関わらず実行できず終わった。
 こうして、DKホールディングスは、そのバランスシートをパンパンに膨らませながら、平成20年3月期は何とか過去最高の利益を計上した。しかしその実態は、決算発表資料によれば平成21年3月期売却予定の物件は平成20年4月以降、一本も売れていないというものであった。

今起こっている問題は、過去も乗り切ってきた程度のことで... このような状況であったが20年3月の時点では、黒田社長も各役員も今起こっている問題は過去も乗り切ってきた程度のことであり、今回も何とかなると信じていた。黒田社長は平成20年の正月を家族でハワイで過ごし、いい時なので後継者に社長の座を譲ろうと考えていた。私も個別の物件の中には、在庫期間が長いものが出てきていることを懸念していたものの、その主因は主に既存物件のテナント内装工事の是正対応など、関連法規の厳格適用に基づく対応などで、営業部内が多忙となったことにあると考えていた。一部のファンドが資金調達難に直面しているとの話はあったが、取締役会などでのそのような報告はまだなかった。だから大分や仙台の物件の決済遅延が、ことさらに厳しいことのように感じたのである。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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