目指すは「観光ビジネス都市」 ハウステンボスを変える経営者魂
<上海―長崎航路で中国から客を呼び込む>
―2011年にも合弁会社を設立して、上海―長崎航路を就航するそうですね。
澤田 新しく会社をつくり、その会社に我々も協力するというスタンスです。昼に上海から長崎へ出て、次の日の朝か昼には到着という感じになるでしょう。上海―長崎航路は2011年7月の就航を目指しており、片道7~8,000円で考えています。受け入れ港は長崎港です。長崎はアクセスが悪いから、これを良くしなければお客さまは来ません。それで中国からたくさんの人が来れば、夜はエンターテインメント、できればカジノ的なものをつくりたいですね。ハウステンボスに貿易と観光の基地をつくって、上海だけでなく世界に向けて船が出て行けばかっこいい都市になると思います。
―ちょうど1年前、長崎県佐世保市など7市、西九州の経済団体を中心に発足した西九州統合型リゾート研究会、佐世保商工会議所などが共同で提案していた「西九州統合型リゾート構想」のなかで申請した「カジノ特区」は国に受け入れられませんでした。
澤田 あれは特区で申請したからダメなのです。まず、日本でカジノがやれるという法律に変えないと。もしそうなったら、九州ではハウステンボスがカジノにピッタリだと思います。カジノは単体でつくってしまうとただのバクチになります。だけど、今世界でカジノと言えば、ラスベガスやマカオなどエンターテインメント性を兼ね備えているところです。
ハウステンボスはテーマパークがあり、ホテルもあり、自然もある。そうしたところにカジノをつくれば、その能力がエンターテインメントとして活きてきます。全国どこを探しても、こうした場所はなかなかないでしょう。ただ、法案が通ったとしても、建設して3~5年はかかると思います。
ちなみに、これはまだ構想段階で詳しくは言えませんが、船の次には医療観光を考えています。取り組みは2011年の秋以降ですね。
【児玉崇・大根田康介】
<プロフィール>
澤田 秀雄(さわだ ひでお)
1951年、大阪府生まれ。73年に旧西ドイツ・マインツ大学経済学部に留学。在学中に世界50カ国以上を旅行する。帰国後の80年、新宿にて旅行会社(現:(株)エイチ・アイ・エス)を開業。95年3月店頭公開。96年、オーストラリアに「The Watermark Hotel Gold Coast」をオープン、会長に就任。また同年、スカイマークエアラインズ(株)(現:スカイマーク(株))を設立し、98年に国内航空業界への新規参入を果たす。99年、協立証券(株)の株式を取得し、エイチ・アイ・エス協立証券(株)(現:エイチ・エス証券(株))の代表取締役社長に就任。03年にはモンゴルAG銀行(現:ハーン銀行)の取締役会長に就任。04年、エイチ・エス証券(株)を大証ヘラクレスに上場させる。同年、(株)エイチ・アイ・エスは東証一部に上場。現在は澤田ホールディングス(株)の代表取締役社長、(株)エイチ・アイ・エスの取締役会長の他、経団連理事、経済同友会幹事、アジア経営者連合会理事長も務め、10年4月ハウステンボス(株)代表取締役社長に就任。
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