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経済小説

天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (22)
経済小説
2010年12月31日 10:00

<社長交代>

 黒田社長は、平成20年4月1日を持ってのトップ交代を決断し、これまで東京支社長であった岩倉専務が新社長に就任した。果たして黒田社長は、事態の悪化を予期して逃げたのか、それとも真に現状を楽観して後継育成のために社長交代に踏み切ったのか。真実は知りようがないが、私は、民事再生を出した後に黒田会長が先頭に立って困難に立ち向かっていったことから、後者であると断言できる。


平成20年4月「返済延長は3ヶ月が限度です」

<直営ホテルの開業>

初のホテルとして開業を目指すこととなった... 大分ホテルは、棚卸資産として3月決算を越し、DKホールディングス初のホテルとして開業を目指すこととなった。
 当社では、これまでに賃貸マンションを中心に開発し、一部では事務所ビルなども手がけていたが、直営でホテルを運営するのは初めてのことであった。しかも4月中には稼動させよという黒田会長(4月1日から会長)の厳命であった。企画課のメンバーが中心になって準備を進めた。ホテルファンドとは、売買契約の合意解除を行ない、ファンドから家具メーカーに発注していた。これらの什器・備品は、ファンドが当該ホテルを決済できなくなり宙に浮いてしまったが、これもDKホールディングスが発注者の地位を継承して代金を支払った。

 ホテルの運営は、自社で従業員を雇用して教育して、というような手間をかけられないので、ビジネスホテルの運営を請け負う専門の会社に業務委託することとした。委託先との間では、初年度は収入を全てDKホールディングスで計上し、委託先には必要な経費を全て支払う(運営リスクは全て当社が負う)が、翌年度からは月額固定額で委託先に賃借する、という契約を締結していた。

 しかし、運営面を全て外注したとしても、従業員の制服などの手配、レストランの運営をどうするか(紆余居曲折の末、地元レストランチェーンに出店いただいた)、システムの導入、消耗品の制作、パンフレット類の印刷、官庁への届出などと、社員2名を専任として投入し際限のない手探りの作業を続けた。
 これらの甲斐あって、予定は若干遅れたが、5月下旬には開業にこぎつけることができた。当初は自社での営業など想定しておらず、旅行代理店などとの契約が遅れたため当初は知名度も低かった。が、種々の施策によってホテルの稼働率は半年程度で安定したものになっていった。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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