(株)ラック 代表取締役社長 柴山 文夫
日本は世界でもまれに見る少子高齢化の進んだ国となりました。それに伴い葬儀のニーズも変化してきているように感じます。従来のような大きな花祭壇を用いた葬儀だけではなくて、家族や近しい方々だけで執り行なう家族葬と呼ばれる葬儀も増加してきております。弊社では家族葬では季節の草木を挿花に用いるなどして、お客様に満足していただけるよう日々精進しております。
家族葬の増加など葬儀の形自体の変化もありますが、葬儀を出す家族がいない方に対して、どのように安心を提供するかということが今後の大きな課題になると考えられます。現在、日本には独居老人が450万所帯くらいあると言われております。その方々がひとり寂しく旅立たれるというケースも増えてきているのです。こういった場合でも他の方に迷惑をかけることなく、葬儀やお墓などの心配をなくして差し上げることが私ども冠婚葬祭業の使命であるように感じております。
たとえば、生前に契約を結んでおくことで弊社が喪主となり葬儀を執り行なうことが可能です。また、身寄りのない方の場合は身の回りの掃除などの心配もあろうと思います。そういった部分まで弊社が担当させていただくことでひとり暮らしをされているご高齢の方々に安心して日々を暮らして欲しいと思っています。 埋葬に関しても共同墓地をつくったり、宗教法人と提携したりしなくてはなりません。身寄りのない方に荼毘に付すまでの安息を提供するためにはそこまで考慮しなくてはならないのです。けれども、これは社会としてやりとげなくてはならないことだと思います。心配しながら生きていくのは辛いことです。長寿社会であるならばこそ、人生を精一杯満喫できる仕組みが必要なのです。
日本の女性が生涯生む子どもが2008年現在、1.37人(合計特殊出生率:女性が生涯生む子どもの推定人数)です。生涯独身率が女性で6%、男で12%となっています。少子高齢化とともに非婚化、晩婚化も進んでいるのです。また、65歳以上の全人口に占める割合が5人に2人となっており、平均寿命が男性で79歳、女性で86歳です。これを見ていたら我々がやらなくてはならないことは自然と見えてきます。ひとりで息を引き取るという場合まで私たち冠婚葬祭業者は考えておかなくてはならないと思います。お金儲けではなくて、社会正義としてやらなくてはならないと感じています。原価率がどうだからできないということではないのです。私たちもいずれお墓に入ります。そのときまですべての人が安心して暮らしていってほしいと願っています。そのために弊社では、ぜひともこの取り組みを実現したいと思っております。
マクドナルド創業者のレイ・クロックの言葉に「Be daring(勇気を持って)、Be first(誰よりも先に)、Be different(人と違ったことをする)」というものがあります。新しいことをやるには勇気がいる、先にやらないと創業者利益が得られない、そして違ったことをやる。私はいつもそれで勝負をしてまいりました。これから先も、この言葉を肝に銘じて、新たな取り組みを続けていきたいと思います。そして、お客様の「困った」を解決し、人生を充実させるお手伝いをしたいと考えております。幸せな社会をつくるために何をすべきか。そのために私は何をすべきなのか。それを常に心に留めて利益だけを重要視せずに企業経営をしていきたいと思います。お墓のなかにまでお金は持っていけないですから。
<プロフィール>
柴山 文夫(しばやま ふみお)
1941年生まれ。
福岡大学卒。67年、「(株)西日本ウェディングセンター(現ラック)」を設立。血液型はB型。読書量は膨大で趣味の域を超えており、社屋内には図書館のように書架が並んだ蔵書室がある。好奇心旺盛で様々なことを深く掘り下げる。
<会社概要>
(株)ラック
代 表:柴山 文夫
所在地:福岡市博多区東比恵3-14-25
資本金:6,575万円
設 立:1967年12月
TEL:092-473-0101
URL:http://www.j-lac.com/
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