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チャイナビジネス最前線

【中国ビジネスの真髄】まずは信頼関係を築くこと 日本人の意識を変えるべき(2)
チャイナビジネス最前線
2011年1月 8日 08:00

(株)連峰 代表取締役 與田 哲也 氏

<最初に井戸を掘った人>

中国のビル群 私が中国ビジネスに参入したきっかけは、意外なことからでした。かつて通信事業を営んでいた私は通信の自由化の波に乗って、比較的順調に業容を拡大してきました。20年ほど前にある中国人留学生を日本人社員と同じ待遇で採用しました。当時の中国はまだ経済発展を遂げる前で、日本人と同等の給与は当時の中国人にとってケタ外れの待遇でした。その後、彼はある企業に転職しますが、しばらくして再会しました。

 彼から「社長、中国の親戚に力を持った人物がいるので一度会ってみませんか」と誘われました。当時は本業が忙しく、中国には興味がなかったのですが、物見遊山のつもりで会おうと軽い気持ちで中国を訪問します。ところが会ってみて驚きました。
 
 親戚の男性は、中国政府の有力者の娘婿で、すでにビジネスを手広く展開して、一大企業グループを形成していました。中国は一族主義の社会で、しかも人脈がモノを言います。日本では信じられないことですが、義父のコネクションを利用して、あらゆる利権に食い込みビジネスを成功させていました。熱烈歓迎を受けた滞在中、彼は「自分の親戚が大変世話になった。何か一緒にビジネスをしませんか」と言ってくれます。最初に井戸を掘ってくれた人を大事にする中国人の美徳に触れた感じがしました。

 しかし、その当時の私の中国に対する認識は、平均的な日本人のもので「本当なのか?」と眉に唾をつけていました。その後、普通の人が入れないさまざまなところに案内され、奥さんにも会いました。奥さんの父親が本当に中国政府の実力者であることを確認できたのです。

 その後、義父は副首相に就任、彼のビジネスはさらに拡大していきます。義兄弟の契りを交わした私は、彼と中国に環境ビジネスの合弁会社を設立しました。しかし、当然ながら本格的なビジネスに発展するにはしばらく時間を要します。なぜなら、私自身が本業の経営に専心しなければならなかったからです。

 その間も私は彼の日本へのアプローチ役として活動しますが、あくまでも副業的な動きでした。

 このままでは中途半端に終わりかねません。また本業の方も2期連続の大幅な赤字で会社の存続が危ぶまれる状態でした。そうした危機感から私は中国を訪れ、彼に助言を求めました。彼から出た言葉は「本業をやめたら」という意外な言葉でした。つまり、自分と組んで本格的にビジネスをやらないかというわけです。それが3年前のことです。

(つづく)

【杉本 尚大】

[COMPANY INFORMATION]
(株)連峰
代 表:與田 哲也
所在地:福岡市博多区千代3-3-4
設 立:1988年
資本金:2億3,830万円


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