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瀬戸内に浮かぶ「アートの楽園」直島~脈々と受け継ぐグランドデザイン(5)
自立する地域社会
2011年1月12日 15:57

<しだいに濃くなるアートの色>

 直島におけるもう1人の立役者は、ベネッセホールディングスの取締役会長であり、「ベネッセアートサイト直島」の仕掛け人である福武總一郎氏である。
町民の生活にもアートが根付いていった ベネッセによる直島開発は、前述した当時の町長であった三宅氏と、總一郎氏の父である(株)福武書店(現・ベネッセホールディングス)創業社長・福武哲彦氏の信念が結合するかたちでスタートした。85年11月に哲彦氏が直島を訪問。そこで三宅氏と意気投合し、福武書店による直島開発の方向性が決定した。その当初の開発計画では、「瀬戸内海の島に世界中の子どもたちが集える『国際キャンプ場』をつくろう」というものだった。
 しかし86年4月、国際キャンプ場が着工する前に哲彦氏が急逝。その後を継ぐかたちで、總一郎氏が直島開発を継承した。もっとも、継承当初は「總一郎氏が父親の後を継いで、直島の事業をやってくれるか」が町民にとっての懸念事項だったという。しかし、總一郎氏が「父親の遺志を継いでやります」と表明し、「町民はホッとした」とのこと。しかも、先代の哲彦氏よりも總一郎氏の方がアートに対しての見識があったようで、總一郎氏が継いだことによって直島は結果的に良い方向へと進んでいくことになる。
ベネッセハウス 總一郎氏による直島開発は、当時藤田観光(株)ほかが所有していた島南部一帯の土地の一括購入に始まる。その後88年に「直島文化村構想」が打ち出され、89年に「直島国際キャンプ場」がオープン。そして92年には、現代美術館とホテルが融合した、安藤忠雄氏設計の「ベネッセハウス」がオープンした。ここが直島における現代アートの拠点となり、以降は直島の開発におけるアートの色が濃くなっていった。
地中美術館 98年からは、本村地区にて「家プロジェクト」がスタート。これは98年の「角屋」に始まり、99年「南寺」、01年「きんざ」、02年「護王神社」、07年「はいしゃ」「石橋」「碁会所」と、現在までに7軒が展開されている。また、01年には直島のほぼ全域を会場とした記念企画「スタンダード展」も開催。島ぐるみで開催されたイベントの効果もあり、町民の間にもしだいにアートの意識が定着していった。
 そして、04年にはついに「地中美術館」が完成。直島におけるアートの中核施設ができたことにより、「アートの島 直島」ブランドは揺るぎないものとなった。

(つづく)

【坂田 憲治】

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