「地域振興」や「まちづくり」を考えるうえで、ポイントとなるものはいったい何か――。3名の専門家にお集まりいただき、座談会を行なった。
<小倉のまちづくりの司令塔>
吉田 私は、「地域づくりにマーケティング発想を」というキャッチフレーズのもとに、地域づくりを行なっています。もともと私はマーケティングをやっておりまして、それを地域づくりに応用するということで、いろいろな仕事を手がけています。たとえば、「地域産品のブランド化が、いかに地域のブランド化につながっていくか」といったような仕掛けづくりなどですね、
現在は、週のうち約半分は北九州の小倉に行っておりまして、「北九州市小倉中心市街地活性化協議会」――これは「中心市街地活性化法」という「街なかを活性化させよう」という法律に基づいてつくられた機関ですが、そこでタウンマネージャーとして「小倉のまちづくりの司令塔」という役割を担っています。
先ほど佐藤さんがおっしゃられたように、まちづくりのなかにはいろいろな要因があります。都市計画の面もありますし、土木もあります。さらには、観光、食、文化といったように、いろいろなものがあります。そういったものを「いかに有効に活用し、小倉の街を活性化させるか」ということが、今の私の仕事です。
ちなみに現在、市がJR小倉駅の新幹線側・北口に「(仮称)北九州市漫画ミュージアム」をつくろうとしています。そうすると、「それを核にして、スゴイまちづくりができるんじゃないか」ということで、今私は、「漫画ミュージアム」と商店街の人とを結び付けるような動きをしています。
たとえば、商店街の人のなかには「漫画=オタク」という古いイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、そういった方に「漫画やアニメの世界は、オタクだけのものじゃないですよ」「"明るいオタク"もいっぱいいますので、そういう人を巻き込んで商店街の活性化につなげましょう」などと呼びかけ、意識を変えさせていくようなことをやっております。
<外からの視点で、糸島活性化を>
―データ・マックスの有栖川都と申します。私は昨年(2010年)4月に糸島市に引っ越してきたばかりで、それまではずっと東京の外資系のコンサルティング会社で、人事と組織の面を中心に特化した経営コンサルタントを行なっておりました。
そのときから通じて私が持っている想いというのは、やはり何かが変わる――変革するというのは、すべて「人を通じて」ということです。ですから、変革のうねりをつくっていくためには、まず人の意識や行動を変えていかなければなりませんし、そのために何か人に働きかけていく――そういったことを、コンサルティング時代からずっと考えてやっていました。
福岡・糸島に来て、私もこの地域の活性化のために、Iターン人材ならではの新しい視点で取り組んでいきたいと思っています。そのために、日々いろいろな方のところをまわってお話を聞きながら、状況を把握しているところです。
今回私は、先日発刊された弊紙「I・B2011新春特別号」のなかの「地域振興特集」で、糸島地域を担当しました。その取材のなかでいろいろな方にお話を聞いていて感じたのは、皆さん同じような想いを持ちつつも、それぞれが個人個人で活動されていらっしゃる方が多いということでした。そこで、それらを客観的に見て、共通の軸のようなものを探してあげて、人と人をつなげていくことで地域活性化を進めていけないか、というような想いで現在取り組み始めたところです。
私は、まだまだ皆さんのようなプロフェッショナルな方々と比べるとほど遠いのですが、「地元人材ではない私ならではの価値観」を少しずつ出していければ、と思っています。
【坂田 憲治】
<参加者> | |
NPO法人えふネット福岡 専務理事 蓼原 典明 氏 |
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(株)環境デザイン機構 代表取締役 佐藤 俊郎 氏 |
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(株)地域マーケティング研究所 代表取締役 吉田 潔 氏 |
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