(株)ワイエルインベスト(福岡市中央区、山本亮社長)は、2003年からインドネシア・スマトラ島でマングローブ植林事業を手掛けている。その植林事業で、スマトラ島の現地に駐在し、植林状況の管理や人員調整など行なっている取締役開発部長の阿久根直人氏に、現地での様子や今後の課題について話を伺った。
―マングローブの植林活動は現在、どれほど進んでいるのですか。
阿久根氏 約1万7,000haぐらい進んでいます。この数字は極端に増えるわけではありません。基本的には、国際連合への排出権事業の申請をまず1番に考えているからです。そのため、新たな土地に植えていくのではなく、今は植えたマングローブの管理を最優先に考えています。国連への申請が完了してから、また新たな方向に進んでいきます。
しかし現状では、国連への申請が通っても、京都議定書自体が基本的には資金回収が潤滑に行なえないようになっています。ですから、それとは別にヨーロッパでは日本よりはるかに排出権取引が行なわれていますので、そこに乗れる排出権を目指し、国連と両方で排出権事業の申請を行なっている状態です。
―では、管理などは現地の人びとが行なっている状態なのですね。
阿久根氏 そうですね。基本的には、その地域に関わっている住民、漁民が中心となって植林および管理をしてもらっています。その地域の村長もしくはリーダーといわれる人たちが、住民をまとめて作業をするかたちをとっています。ひとつの村で、20人~30人ぐらいが参加し、それが何十村もある状態です。インドネシア全体で、多いときには約4,000人が動くときがあります。
今、私たちの事務所があるところは、バタム島というところです。なので、その周辺をメインに植林を行なっています。植林の許可として、最終的にはスマトラ島全体に植林をしていこうと考えています。駐在員の人数的な問題もありますので、ここ(バタム島)で国連のCDM(※1)に則るかたちの植林をまず確立してしまう。その後、南スマトラ州などに移行しようと考えています。
事務所があるバタムでは4つのプロジェクトが動いておりまして、その最初に植林した場所を国連の申請に向けて動いています。また、それとは別に、同じバタム内の別の場所でヨーロッパ向けといったVER(※2)を、105haやっています。これを確立させて、先に進んでいこうと考えています。
※1 京都議定書第12条によって創設された。数値目標規制の課せられていない開発途上国におけるプロジェクトベースで排出権を生み出すメカニズム
※2 国連に認められていない機関が認証した排出削減量
▼(株)ワイエルインベスト
木を植え 木を育て 森を作る!マングローブ植林事業
地球にマングローブを!!プロジェクト~子どもたちに贈る未来の地球~
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら