参議院議員　浜田　和幸　　新刊発売のご案内

　皆様、あけましておめでとうございます。
　
　このたび、『中国最大の弱点、それは水だ！――水ビジネスに賭ける日本の戦略』（角川ＳＳＣ新書）を書き下ろしました。１月８日に全国主要書店で発売されました。

　日本は水に関して技術大国であるにもかかわらず、国際競争力がまったくありません。水はいまや石油以上のビッグビジネスになりつつあります。とくに浄水の供給、排水処理、管理、運営などのトータルな「水ビジネス」の市場規模は、2025年には現在の約1.7倍に当たる100兆円規模になると試算されています

　いま、とくに「水メジャー」と呼ばれる仏スエズ・エンバイロメント、仏ヴェオリア・ウォーター、英テムズ・ウォーターの３社は、世界の上下水道市場のシェアの約８割を握っていると言われています。そして、こうした水ビジネスの裏側には、必ず世界の主要国の国家戦略があります。

　しかし日本の水ビジネスは、世界に誇る技術があっても、プラントの建設から運営まで一貫して受注する総合的なノウハウと国家戦略がなかったため、これまでは一過性の施設建設業務を請け負うだけでした。そして日本企業が強みを持つ膜処理やポンプなどのハードウエア分野は、世界の水ビジネスの市場規模の一割にも満たないのです。

　私はこれまで、「水」に関する本を何冊か書き、日本人と日本企業の水に対する認識の向上を訴えてきました。本書はそれに続くものですが、現在世界で繰り広げられている水の覇権戦争の中で、日本がこのまま埋没していくことを看過できずに筆をとった次第です。

　なぜならば、それは今後の日本の国際的な地位の低下や日本の衰退につながるキーポイントになるからです。

　本書では、まず膨張を続ける中国が日本の水資源まで狙っているという事実から書き起こし、世界の水問題を俯瞰したうえで、日本が世界に誇れる水道と水処理技術を紹介しています。折から、世界ではペットボトルのようなボトル・ウォーターを捨て、水道水をもっと飲もうという動きも目立つようになってきました。

　したがって、世界に誇れる日本の水道と水処理の技術は、日本の水ビジネスが世界展開するための切り札となりうる可能性を秘めているということなのです。

　水危機と言われる今日、あまりにも身近な存在であった水を、もう一度じっくりと体内に取り入れ、水力（ウォーター・パワー）を味方につける工夫を重ねるときだと思います。

　渾身の一冊です。ご一読いただければ幸甚に存じます。

　本年もよろしくお願い申し上げます。

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＜プロフィール＞
浜田　和幸（はまだ　かずゆき）
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。

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