政権交代の時に吹いた追い風が180度方向を変え、逆風になっている現状を、民主党代議士の誰もが予測しえなかったであろう。年が変わっても、民主党政権の混乱は続き、現職議員はもちろんのこと、4月の統一地方選に臨む新人候補予定者へも国政に対する厳しい非難が浴びせられている。そのようななか、2010年11月27日、民主党福岡県総支部連合会(以下、民主党福岡県連)の新代表に野田国義衆議院議員が就任した。はたして野田氏は、現在の政局をどのように捉え、来る統一地方選をどう見ているのだろうか―。
<中長期的なことができない政治環境>
―まず、現在の政局のことですが、仙石官房長官を外すのが一番いいということですか。
野田国義氏(以下、野田〈敬称略〉) まあ、喧嘩両成敗で落ち着くところに落ち着くのが一番いいのではないかと思います。小沢一郎元幹事長がおっしゃっていたのは「通常国会が円滑にいくなら出るよ」ということです。逆に、岡田幹事長としては「議決だけして、2011年に持ち越すうちに強制起訴となれば...」という読みだったのではないでしょうか。
―菅首相としては「成り行きまかせ」というところではないでしょうか。
野田 そうでしょうね。「政倫審(政治倫理審査会)に出てほしい」とおっしゃっていますが、おそらく何も出てこないだろうと。その後で、内閣のなかで問責された方々を替えていく。そのかたちが国民の皆さまが納得されると―。
―もっと悪どいことをやっている政治家もいるんでしょうけどね。
野田 本当は、陸山会の500万円の問題にしても自民党は全部裏金でやっているのを小沢さんはオープンにしたのです。それには秘書経験者である私自身、「政治の世界もこんなに変わったのか」と驚きました。週刊現代の記事にも書いてあります。「一体何が悪いのだ。結局、悪人を作らないと売れないということで叩いている」と。現実として、法的には問題ないかたちでやっているわけですからね。
それに、私自身は『新しい政権が誕生したら4年間は任せる』という仕組みに変えないと、誰がしてもころころと代わってしまうと思っています。アメリカ大統領は4年、韓国は6年の間、任されます。実際に小泉政権以降、短い間で次々に交代してきているわけですから。なぜ、そうなるのかと首長経験者として思うのは、任期1年目は何でもしなければいけないのです。そのなかで種まきをしている。芽が出るのは3、4年後です。1回スクラップしてからビルドしますので、成果が出るのはそれくらい時間がかかります。
たとえば消費税の問題も、4年のなかでやればいいんですよ。しかし、92.4兆円の予算が出ると、どこの新聞も消費税を増税しなくちゃだめだという論議を始めます。それに釣られて増税を支持すると、はしごをとったかのように叩いてくるわけですから。今は、中長期的なことがまったくできないんですよね。
私の市長時代は、4年後に勝負というのが分かっていましたから、市民からいくら非難されても「絶対に芽が出てくるんだ」ということを考えて市政運営をやってきました。今は、目先のことばかりでそれができない。仮に自民党に政権が渡ったとしても一緒のような気がします。
【文・構成:山下 康太】
<プロフィール>
野田 国義 (のだ くによし)
1958年、旧八女郡立花町の農家に長男として生まれ育ち、日本大学法学部卒業後、代議士秘書を経て、93年に34歳で八女市長に当選。全国最年少市長「八女のクリントン」として話題になる。以降、「改革派・市民派市長」として4期16年勤める。現在、民主党・衆議院議員。2010年11月27日、民主党福岡県総支部連合会代表に就任した。
<事務所概要>
所在地:福岡県八女市本町中宮野町2-81
TEL:0943-24-4630
URL:http://www.nodakuniyoshi.net/
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