静岡県熱海の八百屋「八百半」を、30年間で世界的な流通・小売業にまで発展させた和田一夫氏。ピーク時は年商5,000億円を計上した「ヤオハン・グループ」を形成したものの、1997年には経営破綻。その後は国際経営コンサルタントをこころざし、今に至る。そんな苦境を乗り越えてきた和田氏に、中国での現状分析と進行中のビジネスについて話をうかがった。
<失敗後は10年間勉強 80代で輝くつもり>
―81歳の事業家魂に、ものすごいエネルギーを感じます。
和田 68歳のときに事業で失敗しましたが、70歳になったときに、国際経営コンサルタント業をやろうと決めました。そう決めたからには、最低10年は勉強しないといけないなと。そして今、ちょうど勉強が終わったところです。70歳から80歳まで勉強していた頃、いろいろな本を読みました。そして、この年代からそんな志を持ってビジネスをやる人が、これまでに2人いたということがわかりました。
―その2人というのは?
和田 ひとりは鄧小平。彼は言わずと知れた中国のカリスマ政治家ですが、彼も生涯3度の失脚を経験しています。天安門事件が起きたとき、彼は70~80歳代でした。天安門事件で失脚しましたが、彼自身のビジョンを示して成功した政治家です。彼も私も3度失敗しているので同じだなと共感しています。
もうひとりは戦後間もない頃、80歳代で東京電力の社長に就いた松永安左エ門さんです。戦後の混乱期、すべてが失われてしまった電気事業を立て直すのに尽力した松永さんは、「電気王」とも呼ばれ、原子力の基礎をつくった人です。こういう時代の賢人がいるので、私が80歳からスタートしたとしても、10年勉強すればやれると思いました。
―年齢をまったく感じさせませんね。
和田 福岡と東京と上海の3拠点を毎月行ったり来たりしていますが、楽しんでやっているから平気です。今読んでいる本のなかに面白い言葉があります。「50代で輝けば、成功者。60代で輝けば、英雄。70代で輝けば、君は怪物に違いない」。私の場合、80代で輝くつもりです。
―それなら神様になりますね(笑)。ところで、和田さんと古賀さんの親交はいつからですか。
和田 10年間勉強していた最後の2年ぐらい、私が福岡にいたとき、政治家としていろいろなビジネスで古賀さんに間を取り持っていただいたのが最初の縁です。それ以来のお付き合いです。その人柄にほれ込んで、衆院選の決起大会では最前列に座らせていただきました。この世代にはあまりいない、日本の国のことを真剣に考えて動いている政治家だと思います。
【文:杉本 尚大、構成:大根田 康介】
<プロフィール>
和田 一夫(わだ かずお)
1929年神奈川県小田原市生まれ、51年日本大学経済学部卒業。両親の経営する八百半商店に入社。62年社長に就任。71年ブラジルに出店、以降東南アジア、アメリカ等11カ国に進出しヤオハンを国際的な流通グループに育て上げる。90年香港へ本部を移転、95年上海に世界最大級の百貨店を出店。97年ヤオハンジャパン倒産。現在、国際経営塾理事長、上海市栄誉市民。著書に『大失敗からのビジネス学』(角川書店刊)などがある。
チャイナビジネスは地方の時代へ~元ヤオハングループ会長・和田一夫氏特別講演会
【日 時】 2月10日(木) 17:00~(会場受付16:30)
【会 場】 福岡国際会議場(福岡市博多区石城町2-1 TEL:092-262-4111)
【講 演】
17:00~17:30
中国全国人民大会 代表・中国民間商会 副会長
合肥市政府商務局使節団メッセンジャー
金 会慶 氏 「中国・安徽省の現状と可能性」
17:30~18:30
(株)和田総研 代表取締役社長(元ヤオハングループ会長)
和田一夫 氏 「チャイナビジネス成功の秘訣とは」
【懇親会】 18:45~20:00(両名も参加されます)
【会 費】 講演会5,000円(定員200名)
懇親会3,000円(限定150名、申込先着順)
※ご入金確認後、参加証をFAX致します。
【問合先】福岡アジアビジネス研究会事務局 矢野・楢﨑
(福岡市博多区中洲中島町2-3-8F、TEL:092-262-3388)
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