(株)ニューマルシンが1月4日、福岡地裁へ民事再生法の適用を申請し、10日が経過した。福岡県飯塚市を中心とした筑豊地区で「スーパーASO」の麻生芳雄商事(株)と「川食食彩館」の(株)川食と共に「筑豊御三家スーパー」として奮闘してきたが、最初に法的手続きを取らざるをえなかった。
1922年に乾物商として創業した同社は、進藤商店がルーツで業歴約90年の老舗企業である。飯塚は、かつて炭鉱の町として栄えていたが、周知の通り、炭鉱が閉山した後は基幹産業がなくなった。
とは言え、飯塚市はここ最近人口があまり変動しておらず、おおむね13~14万人で推移している。家計を支える男は、転職を余儀なくされても地域に踏み止まった。彼らの家庭の食卓を陰ながら支えていたのがニューマルシンを含めた「筑豊御三家スーパー」といっても過言ではない。
しかし、そのような時代も2000年に入り終止符が打たれた。一時期は20数店舗展開していた同社だが、近年はディスカウントストア、ドラッグストアといった新興勢力に押され、店舗縮小を余儀なくされていた。2010年1月には牛隈店を閉店後、同年4月には本城店を閉店した。
新興勢力に負けじと地場産直商品の取り扱い、一部店舗でお年寄り宅に宅配サービスを実施するなど独自色を出したが、民事再生の道を歩むことになった。
【矢野 寛之】
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