（株）協和通商 代表取締役 孫 暁巍
＜既存の分野を守り、新たな事業展開を模索＞
弊社では電気機器製品と建材という二つの事業を展開しています。昨年（2009年）は、電子機器部門が建材部門の落ち込みを補うような結果となりました。
電気機器部門は、金融危機の影響で、一旦急落いたしましたが、現在はほぼ元に戻っています。弊社が取り扱っているリアクトル、トランスなどは幅広いニーズに対応しています。用途としては、車両空調・医療・船舶・原子力・ロボット用など、産業基盤を支える現場で必要な電気機器です。また、高調波対応リアクトル、低騒音トランスといった環境に優しい製品を提供しています。
現在もなお発展し続けている中国では、市場における需要が安定しています。国が推し進めているインフラ整備や省エネ対策など、産業基盤機器であるトランスやリアクトルは、今後ますます必要とされるでしょう。
一方の建材部門は、電気機器部門とは対照的に厳しい状況にあります。日本においては、少子高齢化の影響で、住宅市場の縮小はやむを得ないところでしょう。さらにはデフレによる値下がりも深刻です。
ただし、市場が縮小しても、住宅へのニーズが消滅することはありません。弊社としては、既存の建材事業において、高い品質を維持しつつ守っていく考えです。
しかし、商社としては時代の流れに合わせた商材を扱わなければなりません。弊社では、まずLED事業に取り組んでいきます。また、中国においても住宅への健康・環境志向は高まっていますので、現在、日本の良質な商品を中国へ輸出する事業を模索している段階です。
＜人とのつながりを事業展開の原動力に＞
起業してから今までを振り返ると、「頑張って仕事をしなければいけない」という使命感がさらに強まったように思います。会社を設立した頃は、社内はほとんど身内ばかりでしたが、現在は、中国の子会社も含め従業員が全体で二十数名います。金融危機のなかで、改めて「従業員の生活を守らなければならない」という責任をはっきり再認識いたしました。
人を抱えている以上は、簡単に逃げることはできません。弊社をとりまく環境は厳しいものとなっています。そうかと言って、事業規模を縮小することは、人員を削減させることになります。現状の体制でどれほど我慢できるかにおいて、人を雇う経営者としての責任感が問われると感じています。そして今後は、社全体が一丸となって事業に臨んでいかなければならないと考えています。そのなかで、社員の潜在能力を引き出し、そこで生み出される付加価値を商品にプラスしていきます。
その一方で、これまで築いてきた私の仲間との関係も大事にしたいと考えています。私は、留学生として来日して以来、さまざまな経験と信頼できる仲間との関係を築いてまいりました。また、２年間学んだ九州大学ビジネススクールでは、さまざまな分野の人たちと共に学び、そこで得た人脈もあります。これまで同様に、今後も仲間たちと助け合っていきたいと思います。
経済情勢は、依然として楽観できる状況ではありません。時代に合わせた事業を展開していくことも大事ですが、その原動力として、社員や仲間、人と人のつながりといったヒューマンパワーが必要だと思います。
＜プロフィール＞
孫 暁巍（ソン シャオウェイ）
1996年、中国で大学卒業後、語学留学生として来日。03年、九州産業大学・経営研究室修士課程修了と同時に「有限会社 協和通商」を設立。05年、有限会社から株式会社へ改組。中国上海市に「上海盛日貿易有限公司」を設立。07年、QBS(九州大学ビジネススクール)に入学し、09年、MBAを取得。
＜会社概要＞
（株）協和通商
代表者：孫 暁巍
所在地：福岡市博多区祇園町1‐40 三井生命福岡祇園ビル8階
設 立：2003年７月
資本金：1,000万円
ＴＥＬ：092-262-3328
ＵＲＬ：http://www.kyowatrading.co.jp/
※本稿は以下の書籍に掲載されています。
このたび、弊社では「愛する福岡へ 201人の提言」を発刊いたしました。内容は、政治、経済、学界の有識者および福岡・九州で活躍する企業経営者が、それぞれの立場から福岡の未来に対する提言集となっております。本著には、以下でご説明するさまざまな活用法がございます。
活用法その１ 「企業経営の良き参考書」
各界を代表する有名経営者の提言は、これから起業される方をはじめ、現在、経営に携わっている方への良きアドバイスとなるでしょう。経営戦略・人材育成・CSR（企業の社会的責任）など、内容は多岐に渡っており、さまざまな場面でお役に立つはずです。
活用法その２「営業先を知るための予習書」
福岡を中心に各企業の代表がずらりと掲載されている本著は、各経営者の考え方や社歴を知るための予習書として営業ツールに最適です。
活用法その３「福岡の未来が分かる予言書」
「予言書」とは言いすぎかもしれませんが、福岡・九州の発展のために、国会議員、自治体首長、地方議員の方々からいただいた提言も掲載されています。また、深い見識を持つ各業界のトップ・リーダーたちも、福岡のまちづくりに対するアドバイスを行なっています。
活用法その４「就職活動の参考書」
これから社会へ飛び立とうという若者へ。就職後のミスマッチをなくすためにも企業の考え方の違いを知ることは重要です。就職を希望している会社の事前予習にも活用できる本著は、就職活動においても役に立つはずでしょう。
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