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コダマの核心

人それぞれ、ビジネス人生の結末は(13)~妻に捨てられようとも福岡市政改革に尽くす=寺島浩幸氏(後)
コダマの核心
2011年1月15日 07:20

高島市政への提言

<情報の「公開」と「発信」市民側にイニシアチブを>

 高島市長は選挙中、「アジアのリーダー都市」を目指し、「人と環境と都市とが調和のとれたまちづくり」が大切であると訴え続け、市長就任時の会見において、「単なる経済という側面だけで突き進む時代はもう終わりだというニュアンスです」とその思いを語っている。具体的な内容はまだ明らかではないが、成熟社会におけるまちづくりの方向性として、髙島市長の思いに共感している。
 前述した「徹底した情報公開」、市民・NPO、自治協議会、企業など多様な担い手との「共働」、コーディネーターとしての「新たな行政の役割」ということを最重要と位置付けて、「アジアのリーダー都市を目指す」という髙島市長の想いをぜひ実現していただきたい。そのうえで、髙島市長へのエールの意味も含め、「情報公開」に関連してひとつ気になった点について、老婆心ながらひと言申し上げたい。

 それは、市長公約には「徹底した情報公開と情報発信」と明確に掲げておられるが、市長就任時の会見をはじめ、その後は「情報発信」に関する発言ばかりが目立っていることである。
 もちろん、広報戦略室を創設して、福岡のすばらしさを広く発信すること、福岡市の重要施策を市民に向けてわかりやすく伝えていくことは、とても大切なことだと思う。ぜひ進めていっていただきたい。
 しかし、ここで申し上げたいのは、「情報公開」と「情報発信」は同じではなく、決定的に異なる点があるということである。
 それは、情報を選ぶことに関するイニシアチブが、行政と市民のどちらにあるかという点で、両者には違いがあるということである。
 つまり「情報公開」は、公開の対象となる情報を市民が決めることができるが、「情報発信」は、発信する情報を行政が決めるということである。
 詳述すると、「情報公開」には2つの使われ方がある。

 ひとつは、3つの制度を含めて使う広い意味ので使い方(広義の情報公開制度)である。
 もうひとつは、公文書公開制度(狭義の情報公開制度)を指して使う場合である。
 「情報発信」はあくまでも「情報提供制度」にすぎず、そこへの市民の主導的な関わりが薄くならざるを得ない。髙島市長には、そのことをぜひ念頭においていただくことを希望している。
 このことは、小さなことと感じるかもしれないが、市民の側にイニシアチブを認めるということは、公正さを担保し、市民の信頼と納得につながる。それとともに、市政の主権者としての市民の立場を明確に表すことにもなり、極めて重要なことであると言わなければならない。
 「アメリカ憲法の父」と称されたジェームズ・マディスンが「人民が情報を持たず、情報を入手する手段を持たないような人民の政府というのは、喜劇への序章か悲劇への序章か、あるいはおそらく双方への序章にすぎない」と喝破しているように、現代において「情報公開」は行政運営の根幹となるルールであり、自治体のトップや幹部にはしっかりと熟知しておいていただきたい制度である。

 とくに福岡市は、全国で初めて「協定方式」を採用して、市の第三セクターや外郭団体が保有する情報の公開度を大きく広げた情報公開公開条例を持っており、2002年に東京で開かれたシンポジウムや03年9月に開催された第1回情報公開審査会委員フォーラムにおいて、その当時、日本でもトップ水準の条例であるなどとの高い評価を得た条例である。大いに市民に宣伝し、活用していただきたい。

<こども病院移転問題 検証作業への提案事項>

こども病院 最後になるが、今後の目玉となる「こども病院の移転問題に関する検証作業」に関して、いくつか希望を提案したい。

 まず、検証作業チームの人選についてである。
 「専門家の見地も入れて再検証すること」については、まったく的確な方針であり、ぜひ実施していただきたいが、専門家の人選は偏ることなく公正に行なっていただきたい。また、専門家の実際の関わり方であるが、検証作業に実際にしっかりと関わっていただくということを強くお願いしたい。専門家が毎回の検証作業には参加せず、たまに市役所に来て、調査・検証の内容を行政側が整理して綺麗にお化粧したような情報を見て、コメントやアドバイスをするというようなやり方は、単なる行政の追認者になる恐れもあり、市民の信頼も得られにくいので、ぜひお止めいただきたい。
 それから、検証作業チームのメンバーについては、「市民への公募」を行なっていただきたい。もちろん、その公募の際には、考えが偏らないことへの注意が必要であるが、ぜひとも一般の市民の目線を検証作業に活かしていただくことをお願いしたい。
 次に、検証作業過程の情報公開についてである。
 前述したように、検証作業の公正さを担保するためにも「徹底した情報公開」を実施していただきたい。

 毎回の検証作業については、審議会の議事録のように、内容をしっかりと記録し、リアルタイムにホームページなどで公開することができれば、市民の信頼はより高まるものと思う。リアルタイムが困難であれば、検証作業終了後に、ホームページなどで公開するか、市民が公文書公開制度を活用できるように、議事録的な記録を公文書として保存していただきたい。留意すべきは、そのときの記録の内容である。数行で終わるような空虚なものでなく、しっかりと充実したものにしておかなければ、かえって市民の信頼を損なうことにもなりかねない。

 繰り返しになるが私は、髙島市長が「こども病院の移転問題に関する検証作業」について「徹底した情報公開」の覚悟を示すことによって、市民の信頼も高まり、事務局の市職員も腹を据えて仕事に向かうことができるものと考えている。どうか上記の提案をご検討いただければ幸甚である。
 以上、生意気でつたない内容については、どうかご寛容いただくことをお願いして、髙島市長の今後のご健闘とご活躍を祈りながら筆を置かせていただく。

(了)


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