<日中関係の構築は最初からやり直し>
―それにしても、最近の中国は何を恐れているのでしょうか。
和田 そう見えるのは、中国が未熟だからです。中国人は歴史を重んじるので、人と人との関係を築いていかないと信頼しあうことはできませんし、相手も心を開きません。しかし、人間関係がつくれさえすればうまくいくという国民性です。いつから日本との関係が薄くなったかと言いますと、ここ最近、民主党政権になってからで、とくに中国とのパイプが薄くなった気がします。日中関係の構築は最初からやり直しで、時間が必要です。
私も5年ほど前に上海経営塾というものを行なっていましたが、1年経ったぐらいで大規模な反日デモが起こりました。これはダメだと思った結果、経営塾も早々に休眠としました。私はその後、中国政府がどういう政策に舵を切っていくのか知りたくて、中国にとどまりました。結局2年もの間、福岡と上海を行ったり来たりしながら中国を観察してきましたが、日本のマスコミは中国人がデモばかり起こしていると報じています。実際のところ、上海や北京では、デモなど起こっていません。地方の都市で小規模なデモが起きているだけです。
一方で、上海経営塾の塾生のうち半数は中国人でしたが、彼らはその後事業家になったり、政府の役人になったりしました。そうした経緯もあって、上海で国際経営コンサルタント業をすることにしたのです。
日中間でも、本気で腹を割って話せば、ビジネスにおいてはうまくいくはずです。しかし、そうはいってもやはり時間が必要だということです。
―現在の日中間の政治問題について、上海の人たちはどう見ているのですか。
和田 日本というのはこういう国だと、教科書で教えられた通りに考えています。ただ、日本に来たことがある人は、日本人が礼儀正しく、きちんとしているということも知っています。私はそうした中国と日本の橋渡しをしていこうと思っています。新しい流れになればいい。今、中国人の経営者と合弁会社というかたちで、日本と中国、そしてアジアを結ぶ国際経営コンサルティング会社をつくることにしています。
【文:杉本 尚大、構成:大根田 康介】
<プロフィール>
和田 一夫(わだ かずお)
1929年神奈川県小田原市生まれ、51年日本大学経済学部卒業。両親の経営する八百半商店に入社。62年社長に就任。71年ブラジルに出店、以降東南アジア、アメリカ等11カ国に進出しヤオハンを国際的な流通グループに育て上げる。90年香港へ本部を移転、95年上海に世界最大級の百貨店を出店。97年ヤオハンジャパン倒産。現在、国際経営塾理事長、上海市栄誉市民。著書に『大失敗からのビジネス学』(角川書店刊)などがある。
チャイナビジネスは地方の時代へ~元ヤオハングループ会長・和田一夫氏特別講演会
【日 時】 2月10日(木) 17:00~(会場受付16:30)
【会 場】 福岡国際会議場(福岡市博多区石城町2-1 TEL:092-262-4111)
【講 演】
17:00~17:30
中国全国人民大会 代表・中国民間商会 副会長
合肥市政府商務局使節団メッセンジャー
金 会慶 氏 「中国・安徽省の現状と可能性」
17:30~18:30
(株)和田総研 代表取締役社長(元ヤオハングループ会長)
和田一夫 氏 「チャイナビジネス成功の秘訣とは」
【懇親会】 18:45~20:00(両名も参加されます)
【会 費】 講演会5,000円(定員200名)
懇親会3,000円(限定150名、申込先着順)
※ご入金確認後、参加証をFAX致します。
【問合先】福岡アジアビジネス研究会事務局 矢野・楢﨑
(福岡市博多区中洲中島町2-3-8F、TEL:092-262-3388)
・関連記事
【特別対談】期待される中日間の企業家交流 安徽省が秘める可能性(上)
【特別対談】期待される中日間の企業家交流 安徽省が秘める可能性(中)
【特別対談】期待される中日間の企業家交流 安徽省が秘める可能性(下)
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら