<若者を採用しない委縮した企業家マインド>
今年の成人式を迎えた若人は120万人、昭和22年生まれの団塊の世代の中核である63歳はまだ230万人生き残っている。20歳が63歳の半分しかいない歪な年齢構成になっている日本社会。昭和22年生まれの63歳は中学卒業当時、「金の卵」として企業から採用が殺到していた。ところがだ。20歳の若者が63歳の半分しかいない当世に、就職率が悪化し大学4年生の半分が就職浪人になるという現実がある。情けないことだが、若者を雇用しようとする意欲のある企業が少ない。経営する者として深刻に直視する必要があるのではないか!!
「就職戦線では4年生の学生20%が内定をもらっていない」というのであれば、それは個人能力に帰結するものである。だが、50%に及ぶ人たちの就職内定が定まっていないというのであれば、それは憂うべき社会問題だ。経営者に「若者に覇気がない」という資格はない。経営者自身が「若者を採用して事業発展しよう」という意欲を持っていない証明でもある。経営者そのものが日本の沈滞した風潮に飲み込まれてしまっているのだ。
<若者は結束して世の不条理を叫べ!!>
筆者は6年前から大学の講義で次のような警告を発してきた。「この講義を受けている文系の方々、200名おられますね。ここの30~40%の皆さんは30歳で年収が300万で頭打ちになる宿命が待ち受けていますよ。この厳しい日本の将来を忘れないでくださいね」と。しかし、予想を超えて現実は悲惨である。とくに文系の学生たちは、現在に至っても50~60%しか就職内定をもらっていない。恐らく、内定を得ていない学生の80%はビジネス人生の立て直しが絶望であろう。裏を返すと、3月に卒業する40%の学生たちのビジネス人生の不幸が定まっているということである。筆者が警告を発してきた「30歳をピークにして年収300万円で頭打ちのビジネス人生」に終始するのだ。
弊社も4月から3名の学生を採用する。この3名に「昨年末、就職内定をもらっていない友人・知人のうち最低10名から本音を徹底的に聞いてくること」を命じた。そして、大学4年生の就職戦線の問題点に関する討議をさせた。こちらとしては「社会問題として捉え、どうメディアとしてキャンペーンを展開するか、その参考にしたい」意向があったのだ。残念ながら、こちらの予測に反した議論に終始した。
弊社が内定をだしている3名の学生たちは、「内定に至っていないのは各人の能力不足の問題である」と単純な個人責任へ帰結させる結論になった。「我がたちだけはたかがデータ・マックスから内定をもらっただけで、己を優秀と誇って自己陶酔に浸っているのか!!同世代としてスクラムを組んで社会問題として受けとめることができないのか」と非常に腸が煮えたぎり残念でたまらない。
人間の本能的な差別意識のパターンとして「上を見て妬み、下を蔑んで精神的なバランスを保つ」という特性がある。学生たちは「不本意ながらデータ・マックスから内定をもらった。それでも50%は就職浪人が生まれる。この連中より俺は優秀だ」と自己弁護の思考を繰り返しているのであろう。今の社会は、本当に個々人がバラバラに分断されてしまっているために、社会変革が困難な時代である。
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