<失敗を恐れるな 事実から目を背けるな>
―とくに次世代の経営者に対してのメッセージとして、和田さんが持っているビジネスに対しての熱意はどこから生まれるのかお聞かせください。
和田 昨日も東京から取材に来られた方に同じような質問を受けました。今はそういう時代なのだなと改めて感じます。成功話より失敗したときの話を聞くほうが、何かを得られると考えている人が多いのでしょう。そういう話題が多くの経営者に求められているのでしょう。
私が考えるに、失敗は良いことだと思います。経営者の心の問題が重要で、「勉強になった。これが次の成功につながるんだ」と考えることが大切です。私は10年間、毎日そう思っています。失敗したことで、世界的な国際経営コンサルタントになるのだと。これでみんなの役に立てるようになると。失敗を恐れないということが大事で、失敗してもいいという覚悟でやるといい。その経験が次の成功につながります。
だけど、中途半端な失敗はダメです。もう10年以上経っているから時効ということで言ってもいいでしょうが、ヤオハンジャパンがダメになったとき、メインバンクの東海銀行がジャパンの赤字を心配して、会社更生法で処分しなさいと言ってきました。海外で立て直して、また日本に戻ってきたらいいのではというアドバイスを受けたのです。私は海外でいろいろなことをやっていたときにその話を聞かされましたが、チェックや危機管理がおろそかになっていたことが当時失敗した最大の要因だと思っています。
だけど、そういう事実から逃げないで、しっかり見つめて、最善の手を打つことの方がもっと大事です。それが次につながっていきます。ただ、起こってしまったことは仕方がない。私は反省したけれども、くよくよせずに、コンサルタントになろうと思ってすごく勉強しました。
―中国における今後の流通経済の見通しは。
和田 10月末に中国が発表した最新5カ年計画は、日本の中小企業にとって良い話だと思います。格差是正のための所得底上げをするということは、裏を返せば中国の小売業だけではまかなえないということです。
中国のこれまでの成長率の背景には、格差是正と地方への再配分の問題があります。上海や北京はできているので、これから中国は地方の時代に移り変わってきます。そのなかで、一番土地が安くて立地も良く、政府の応援があり、人脈があるところがチャンスとなりうるところです。日本に比べてサービス業などはかなり遅れているので、そうした分野においては、最大のビジネスチャンスになるのではと思っています。
【文:杉本 尚大、構成:大根田 康介】
<プロフィール>
和田 一夫(わだ かずお)
1929年神奈川県小田原市生まれ、51年日本大学経済学部卒業。両親の経営する八百半商店に入社。62年社長に就任。71年ブラジルに出店、以降東南アジア、アメリカ等11カ国に進出しヤオハンを国際的な流通グループに育て上げる。90年香港へ本部を移転、95年上海に世界最大級の百貨店を出店。97年ヤオハンジャパン倒産。現在、国際経営塾理事長、上海市栄誉市民。著書に『大失敗からのビジネス学』(角川書店刊)などがある。
チャイナビジネスは地方の時代へ~元ヤオハングループ会長・和田一夫氏特別講演会
【日 時】 2月10日(木) 17:00~(会場受付16:30)
【会 場】 福岡国際会議場(福岡市博多区石城町2-1 TEL:092-262-4111)
【講 演】
17:00~17:30
中国全国人民大会 代表・中国民間商会 副会長
合肥市政府商務局使節団メッセンジャー
金 会慶 氏 「中国・安徽省の現状と可能性」
17:30~18:30
(株)和田総研 代表取締役社長(元ヤオハングループ会長)
和田一夫 氏 「チャイナビジネス成功の秘訣とは」
【懇親会】 18:45~20:00(両名も参加されます)
【会 費】 講演会5,000円(定員200名)
懇親会3,000円(限定150名、申込先着順)
※ご入金確認後、参加証をFAX致します。
【問合先】福岡アジアビジネス研究会事務局 矢野・楢﨑
(福岡市博多区中洲中島町2-3-8F、TEL:092-262-3388)
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