筑豊御三家の売上の構図が崩れたのは、とくにリーマンショックの起きた2008年9月以降である。消費者は生活防衛に走り、家計の出費を抑えに抑えたことが災いし、それまでディスカウントストアなどで食材を買わないと言っていた層までがディスカウントストアに足を運ぶことになった。
飯塚地区で言えば、ディスカウントストアはトライアルカンパニーとルミエールが、高質分野でハローデイが躍進し、競争環境が一変した。トライアルは田川市に大型物流施設を作り、地元での知名度を一気に広げたほか、ハローデイの九州工大前店は同社のドル箱店のひとつとなり、筑豊の高額所得者の需要をひとり占めしているといわれる。
ニューマルシンの債権者名簿によれば、リーマンショックを経た2009年3月期の決算で2,300万円の赤字に転落。競争が激化したことによる売上不振が赤字経営にさせた要因となっていた。ただし、飯塚地区では他エリアのライバルスーパーのひとつであった北九州市の(株)丸和が10年6月に事業再生ADRの申請を行ない、法的手続きによらない再生に踏み切り、同地区の競合店舗が閉鎖となった。丸和が展開していた「ラパレット穂波店」が閉鎖後、ニューマルシン椿店の11月の売上が前年比月間110%になるなど、店舗によっては好転の兆しを見せていたのである。
しかし、時すでに遅し。ニューマルシンは、外部からの人材を投入するなど組織面での強化を図ったが、逼迫した財務内容から支払い面に支障が出ることになり、法的手続きに踏み切らざるをえなかった。
【矢野 寛之】
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