<GC注記のとりまとめ>
このような状況であるため、GC注記がつくことは確実となった。しかしGC注記は、それがつくことで、決算を開示できるという免罪符ではない。
GC注記をつけて監査証明をもらい、決算を開示するためには、まず向こう1年間の資金繰りが続くことを説明できなければならない。前期末の自己資本が34億円あったため、通期で8億円程度の赤字であれば何とかならないこともないが、開発業という特性上、商品となる土地の性質もそれに対する銀行融資の内容も様々であるため、無作為に物件を売っていけばいいというものではない。売れば資金が増える物件と売っても銀行融資を返済するとかえって資金が減る物件があるため、まずは資金が増える物件を売り、そこで余裕資金を作り出したところで、売ると資金が減ってしまう物件を処理していくということが必要である。そのためには、各物件の融資条件を把握し、様々な試行錯誤を行って組み立てていかざるを得ない。
また、資金繰りを継続するためには会社の経費構造の見直しが不可欠となった。福岡本社と東京支社以外の各都市の拠点はすべて撤退する。それに伴って人員を当初の7割まで削減する。そして、現状の手持ち物件は12月までに土地のまま売却する。その後、比較的需要が底堅い個人向けの物件に限って仕入を再開する、という再建策が取りまとめられることとなった。
そして、GC注記のついた決算を出すとなれば、銀行などからの問い合わせの殺到は避けられないと考えられた。このため、通常の四半期のリリースでは、公表当日に銀行に資料を配布していたが、今回に限っては、全ての銀行を訪問して事前説明を行なうこととした。
〔登場者名はすべて仮称〕
(つづく)
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