内陸部への産業集積のなかで経済発展の注目地となるか
中国の沿海部の環渤海経済圏、長江デルタ、珠江デルタという3大産業集積地は、改革開放後、現在に至るまで中国経済の成長を牽引してきた。しかし、これら沿海部地域の多くは昨秋のリーマン・ショック以降、世界経済減速の影響を大きく受けて、その推進力が低下。そうしたなか、安徽省、湖南省、江西省などの内陸部への産業集積が新たに注目されている。
<有能な人材を輩出 目ざましい経済成長率>
安徽省(省都:合肥)は、1667(康熙6)年、清朝が江南省を分割し同省および江蘇省を設置したのが始まり。1949年、中華人民共和国の建国当初は皖北、皖南地区に二分されていたが、53年に同省が再設置された。現在は、発展著しい長江デルタの後背地として注目されている。過去には、三国志の曹操や明を建国した朱元章など歴史上の人物や、現在では胡錦濤国家主席や呉邦国全国人民代表大会常務委員長、李克強国務院副首相など、多くの有能な人材を輩出してきた。
経済成長率は、90年台後半から一桁台で推移していたが、06年12.9%、07年13.9%、08年12.7%、09年12.9%と大幅に伸びており、ここ十数年は安徽省の成長率が中国全体の成長率を上回っている状況が続いている。
JETROの2010年10月現在の資料によると、面積は13.94万㎢で中国全体に占める割合は1.45%であり、北海道(約8.4万k㎡)の約1.7倍となっている。09年末時点の戸籍人口は6,794万5,000人、常住人口は6,131万人で、出稼ぎなどで他地域へ人口が流出しており、常住人口が戸籍人口を下回っている。
産業としては、石炭と鉄鋼が主要な工業となっている。基礎的経済指標を見ると、09年の域内総生産(GDP)は1兆52億9,000万元(前年比12.9%増、中国全体は34兆507億元)、1人当たりGDPは1万6,391元。GDPにおける産業構造としては、第一次産業が1,495億6,000万元(前年比5%増)、第二次産業が4,902億8,000万元(同16.8%増)、第三次産業が3,654億5,000万元(同11.1%増)で、第一次産業の占める割合が減少傾向にあるものの比較的高い。
産業別就業者数では09年には第一次産業1,566万1,000人(39.3%)、第二次産業が996万人(25.0%)、第三次産業1,425万9,000人(35.8%)で、第一次産業が多くを占めるものの割合は低下している。
09年の貿易額は156億4,000万ドル(前年比22.5%減)、うち輸出額は88億9,000万ドル(同21.8%増)、輸入額は67.5億ドル(同23.5%減)で21.4億ドルの輸出超となった。主要な貿易相手国は、EU、アメリカ、日本となっている。
【大根田 康介】
チャイナビジネスは地方の時代へ~元ヤオハングループ会長・和田一夫氏特別講演会
【日 時】 2月10日(木) 17:00~(会場受付16:30)
【会 場】 福岡国際会議場(福岡市博多区石城町2-1 TEL:092-262-4111)
【講 演】
17:00~17:30
中国全国人民大会 代表・中国民間商会 副会長
合肥市政府商務局使節団メッセンジャー
金 会慶 氏 「中国・安徽省の現状と可能性」
17:30~18:30
(株)和田総研 代表取締役社長(元ヤオハングループ会長)
和田一夫 氏 「チャイナビジネス成功の秘訣とは」
【懇親会】 18:45~20:00(両名も参加されます)
【会 費】 講演会5,000円(定員200名)
懇親会3,000円(限定150名、申込先着順)
※ご入金確認後、参加証をFAX致します。
【問合先】福岡アジアビジネス研究会事務局 矢野・楢﨑
(福岡市博多区中洲中島町2-3-8F、TEL:092-262-3388)
・関連記事
【特別対談】期待される中日間の企業家交流 安徽省が秘める可能性(上)
ビジネスに反日感情は関係なし 中国は地方都市の時代へ~和田一夫氏インタビュー(1)
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら