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ニューマルシン倒産から見る、今後の小売業の在り方(3)
倒産を追う
2011年1月18日 17:07

<高い野菜を原価で販売し大盛況。スーパー経営は選挙と同じ>

ディスカウントストア、ドラッグストアが台頭し、ニューマルシンに限らず苦戦しているスーパーマーケットは少なくない。他のスーパーが冷凍食品を6割引すれば、近隣のスーパーは客足を奪われてガラガラになる話は今に始まったことではない。単店スーパーにとって、冷凍食品6割引は赤字を垂れ流すだけであり、同じような対抗手段をとっていてはいずれ倒産の日を迎えるだろう。

 そうしたなか、独自の手法で大手に対抗する企業がある。「うちもディスカウントストアにやられていました。何か対抗手段を考えたところ、うちの得意分野は何かと改めて考えました」というのは福岡県内のスーパー経営者A氏。同氏が経営するスーパーは、新鮮な野菜が好評だ。そこである日、大根を1本原価で販売したところ、1店舗で1日650本も販売した。「今さら冷凍食品を割引しても、お客様にとっては何のありがたみもない。高くなった野菜を安くするならお客様に喜ばれるだろうと思い、実際にやってみると大成功しました」。

 人間の心理として、冷凍食品目当てに買い物にくる人は、冷凍食品以外はあまり買わないが、野菜を買いにくる人は必然的に肉や魚を買っていくようだ。野菜を買う人は、そこで晩御飯の食材を揃えようとするのだろうか。相乗効果で売上は伸びに伸びた。A氏は続けてこう言う。「スーパーマーケット経営と選挙活動は同じだ。お客様から支持を失ったら潰れてしまう。お客様の意見をすべてを鵜呑みにはできないが、意見を聞きつつ、お店としてできることを探していけば地域密着できる」と。

 やり方次第でスーパーマーケットも生き残ることができる。

(つづく)

【矢野 寛之】

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