NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

経済小説

天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (39)
経済小説
2011年1月19日 11:14

<経営再建計画>

 私は経理部長に四半期決算を任せつつ、7月中に経営再建計画を立案し取締役会などで関係者に説明をしていった。そこでの問題は、いかにこの経営再建計画、そのなかでもリストラ計画を実行に移すかであった。
 私自身は、以前の勤務先で希望退職を含むリストラを経験していた。前職のスタッフ勤務で本部内各部の希望退職面談の進捗管理などを担当したこともある。このため私自身は、リストラの辛さは身にしみて感じていた。しかし、他の役員は、そのような経験が一切なく、最後には黒田会長が何とかしてくれるというような感覚が抜け切らなかったので、私は大いに不安を感じていた。

リストラ計画は後に、予想通り難航を極めた... リストラの最大の課題は、本社と東京以外の事業所を閉鎖して従業員を3割削減することであった。このなかで、出先で現地採用した社員については、仮に本社への転勤を勧めたとしても、自発的に退職するだろう、という読みはあった。また、補助的な業務に派遣社員を20人程度使っていたため、これを契約満了とし新卒の社員をもって置き換えることもやむなしと思われた。しかし、それだけでは人員削減は不足であり、部署別に削減目標を定めて本社の要員に退職を勧奨することは不可欠であった。
 このため私は、どうしても人員削減が進まない場合は、当社が外注していた業務を内製化して人員を吸収することを考えた。当社が管理している賃貸マンションの日常清掃や設備点検などを正社員で実施しようということである。当社には、いわゆる一般職の女性に該当するような社員が多くいて、各部署の庶務業務などを担当させていたため、このような人たちを現業に転換することは辛いことだった。しかし、これが受け入れられなかったら残された途は退職勧奨しかなかったため、それよりはまだましであると考えていた。
 しかし、リストラ計画は後に、予想通り難航を極めた。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

≪ (38) | (40) ≫

※記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


経済小説一覧
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル