九州には伝統的な卓越した技術がある、個性的な食文化がある。そんな九州の都心・福岡で、アジアとのビジネスマッチングに日々東奔西走している福岡商工会議所国際経済グループ。去年、6つの国・地域に、福岡の企業127社を売り込み、52件のビジネスマッチングに関わった田中大輔氏に、中国で成約に至った企業にはどのような特徴があるのか聞いてみた。
<基本はマメな情報交換ができるかどうか>
去年、中国だけで12回出張し、さまざまな企業のアテンドをおこなった田中氏によると、中国でも勝負できそうな企業は経営者の意気込みが違うという。中国でものを流通させるには、たいてい現地のバイヤーと商談するのがセオリーだが、意気込みのある経営者は、大した用事もないのに電話したり、訪問したりすることが自然にできるという。
中国人のバイヤーとはいえ同じ人間、会う回数、話す回数が多ければ、信頼関係が強くなるというもの。日本人、とくに九州人は引っ込み思案というか、消極的な性格な人が多いが、現地の人はマメな情報交換を求めているのだという。日本の情報は、こちらが思っているほど中国には全然入ってきていない。距離的に近いといえども、九州の情報などはなおさらだ。向こうから何か質問を投げかけられたら、即座にレスポンスできる姿勢が望ましい。
ある現地バイヤーの話だが、九州のメーカーに「この商品を100円で10万個売ってほしい」とあえて難しい数字を提示した商談を持ちかけたところ、「100円は無理だが、105円ならOKだ」と、その日のうちにメーカーの社長から返事をもらえたという。もともと難しい商談だったが、即座のレスポンスで話はとんとん拍子に進んだそうだ。
コミュニケーション能力という言葉は、就職活動を控えた大学生向けによく使われるが、九州人にはこの能力が劣っている人が多いような気がする。毎回行くと嫌われるのではないか、用事がないと連絡してはいけないのではないかと遠慮ばかりしていては、アジアでのビジネスは成功しない。アジアのマーケットに打って出るには、コミュニケーションの質と量で勝負したいところだ。
【杉本 尚文】
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