福岡商工会議所 経済部長 高比良 拓児 氏
<大連で注目を集める福岡発のファッション>
おととし、第1回の福岡アジアコレクション(FACo)を開催した半年後の9月、大連で行われた「中国大連国際服装紡績品博覧会」に、FACoとして初めて出展した。20年以上の歴史を持ち、毎回4万人を集める大規模なファッションイベント。FACoにとっては大先輩のイベントだったが、まずは最初ということもあり、1コマ(約10m2)の小さなブースを構えた。
ブースには、服を少し並べて、第1回のFACoの様子をビデオ放映する程度だったが、それでも現地の中国人バイヤーの関心は高かった。「これはいけるかも」と思い、去年9月の2回目の出展の際にはブースを5コマに増やして、インパクトを持たせるようにピンク色に装飾した。そして、若い女性に人気のある"カワイイ"福岡発のブランドを中心に8ブランドを集めた。結果は大盛況だった。
大連だけでなく、中国各地から訪れたバイヤーの名刺が4日間で70枚ほど集まった。彼らは、「すぐに仕入れさせてほしい」とか、「何ロットから取引できるのか」とか、具体的に商談話を持ちかけてくる者が多かった。日本語を話すバイヤーも多く、何かをやりたい、オリジナルの商材を見つけて一旗挙げたい――彼らからは、そうした勢いのようなものを感じた。あれから3カ月ほど経ったが、そのうち10数社と商談に至るまでになっているという。
<福岡アジアコレクションに注目する大連>
去年3月の福岡アジアコレクションに、初めて大連の博覧会の責任者が視察に訪れた。その方は、ファッションショーの盛り上がりに圧倒されていた様子で、終始だまりこんでいた。大連の博覧会は、バイヤーのためのビジネスイベントであり、消費者がチケットを買ってまでファッションショーを見に来るということは、中国では想像がつかないことらしい。
中国では、モデルはあくまでマネキンに過ぎず、着ているブランドを目立たせてナンボだという考えだそうだ。日本のように、「エビちゃん」や「もえちゃん」といったモデルがタレント化されていることに、ひどくショックを受けたという。そして、そのノウハウをぜひとも中国に持ち込んで、博覧会を一般消費者にも盛り上げてやりたいと言っていた。
2005年に始まり、今や2万人以上を集める日本を代表するファッションイベントとなった「東京ガールズコレクション」。このイベントの主催者は、ファッション通販サイト業者などが中心となっているが、大連の博覧会担当者は去年、東京ガールズコレクションを大連に持ち込みたいと主催者に掛け合ったようだ。しかし、巨額の企画料を提示され、私たち福岡商工会議所に戻ってきたようだ。そのあたりは、中国人らしい。(笑)
私たち商工会議所が関わるからには、福岡アジアコレクションは地元の産業振興に役立てないといけない。
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