<商品価値を見る目が鋭い中国人バイヤー>
日系人バイヤーもそうだが、中国人バイヤーは初めて見る品物でも、価格を見る目が長けている気がする。世界中からさまざまな商品が集まるだけあって、日本側が想定していた、ギリギリの価格ラインを読んでくるのでたびたび驚かされたという。ただ、日本製品というと質が高くて当たり前という感覚で、10点満点中、最低でも7点以上はあるという印象のようだ。なので、日本製品は品質の良さだけでは勝負にならないという。
しかし、長年ビジネスマッチングの仕事に関わっている田中氏でも、福岡の企業のものづくりのすごさを感じさせられるときがあるそうで、現地バイヤーをうならせるほどの高品質の商品に出会えることがあるという。そんなときは、価格の話にもならずに一発採用となる。九州のある食品メーカーの社長が言うには、「本当に良いものをつくっておけば、向こうから頭を下げてくるはずだ」と。福岡には、まだ世に出ていない掘り出し物がたくさんある。田中氏は、そうしたすばらしい商品を作っている企業を発掘し、中国での商談に立ち会えることは、この仕事の醍醐味のひとつだという。
そして田中氏は最後に、もっとも大切なのは何と言っても「気合い」ではないかと力説する。同じ商品でも海外で売り出そうとすれば、何かと金がかかる。たとえば1,000万円用意して、それを使い切るまで勝負する「気合い」があるか、自社の商品を置いてもらいたい店に社長が月に2回程度は通えるか―アジアのバイヤーが首を縦に振ってくれるのがいつになるかわからない、ゴールはわからないけれども、やるかやらないかだけだと。
小さなマーケットだけで勝負するのか、大きな世界へ飛び出すのか、福岡商工会議所国際経済グループは、今年もそういう熱い志を持った中小企業を支援していきたいと語っている。
【杉本 尚文】
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