1970年代後半に大手電機メーカー・東芝の社員として中国に入り、現地生産法人の立ち上げや営業・投資などを手がけ、以来25年以上にわたって中国の経済成長を見続けてきた先駆者、一般社団法人九州・アジアビジネス連携協議会の国吉澄夫事務局長に、2011年の対中ビジネスの展望について、語っていただいた。
<キーワードは「連携」>
中国は言わずと知れた巨大な「市場経済」のマーケットである。だが、先進国と発展途上国の二面性がまだ色濃く残っている。世界の工場として、ものづくりの基盤形成をして、優秀な労働力を世界に向けて輸出してきたが、それと同時に、「世界の市場」でもある。
中国のマーケットを見るうえにおいて、東アジア全体の巨大マーケットとしてとらえるべきだ。13億人の人口のうち、日本の人口とほぼ同じ約1億人の富裕層が出現している。成長する中国の企業がいま求めているのは、「連携」だ。良い人材がいる企業、優秀な技術を持つ企業と組みたがっている。
いま日本企業に求められるのは、国境を越えたビジネス展開スキルではないかと思う。とくに、技術力を持った中小企業の国際的な人材が必要とされる時代になってきたのではないか。
日本経済新聞社と韓国毎日経済新聞社、中国経済観察報の3社が、去年12月に日中韓の経営者325人に「自社の市場として有望視している国はどこか」という調査アンケートを実施した。それによると、3カ国とも1番に中国を挙げ、2番目に、日本と韓国は東南アジアを、中国は北米を挙げた。さらに「自社の拠点として投資したい地域は」という質問に対しても、3カ国とも1番が中国という回答だった。また、中国の輸出は2009年に続き、2010年もドイツを抜いて2年連続で世界一となっている。
【文・構成:杉本 尚大】
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