(株)トラヤミートセンター 代表取締役社長 小川 邦敏 氏
伊都安蔵里 館長 八尋 建蒔 氏
<地域の発展は 地域に豊かさをもたらす>
八尋 山あいのエリアは、まだ知られていない分だけ発見があると思います。私も自然の美しさにびっくりさせられました。この地域には、そういった隠れた資源がたくさんあります。けれども、地域の方々のなかには活性化することで、自分たちに何か得があるのかと疑問視する方がいらっしゃることも事実です。地域に人が集まってくれることによる恩恵を、一番受けられるのは地域に住んでいらっしゃる方だということを、理解していただかなくてはならないですね。
小川 そうですね。地域が活性化することによる一番大きな地域貢献は雇用だと思います。
八尋 地域に人が集まれば、その方々をおもてなしする場が必要になります。すると、スタッフの方も増やさなくてはならなくなるでしょう。その際、地域の方々にお手伝いいただければ、実感として地域が元気になることが生活を豊かにすることだとわかってもらえると思います。私たち伊都安蔵里(いとあぐり)でも、地元にお住まいの奥様方にお手伝いしてもらっています。平均年齢も60歳代です。地域で働きたいが働く場がない、という方も多くいらっしゃるんですよね。そういう方々に働く場を提供でき、それによって生活が豊かなったら、地域がどんどん活性化していく好循環が生まれるのではないでしょうか。
小川 弊社も、地元の方がお手伝いに来てくれているおかげで、商売を続けることができています。店の繁盛が地域の皆さんの生活を豊かにするということを、理解してもらうことも重要かも知れないですね。
八尋 伊都国街道エリアの方のなかには、地域の将来を憂いている方も多くいらっしゃいます。みんな、個別にアイデアを持っているのですが、まとめる方がいないんですよね。個別のアイデアで、個々にアピールするよりも、エリアとして集客する方が来てくださる方にわかりやすいと思います。そういう意味でも、先ほど小川社長がおっしゃった通行手形は良いアイデアだと思います。そういうアイデアとともに、それを推し進めるリーダーが必要になろうかと思います。
小川 実際にやってみて、一個人がそれをやるには限界があるとも感じました。やはり、市役所の観光課や商工会などがもっと力を貸してくれたらと思いますね。
八尋 最初は2、3店舗の連携から始まってもいいと思います。そこで成功事例をつくり、輪が少しずつ広がっていって、最終的には行政や商工会も力を貸してくれるようになるといいですね。せっかく小川社長が伊都国街道というすばらしい構想を提案してくれていますので、活かさない手はないと思います。今後とも、地域のためにお互いにがんばっていきましょう。
【文・構成:柳 茂嘉】
小川邦敏(おがわ・くにとし)氏
昭和16年長崎県生まれ。糸島の山手の入り口に精肉店トラヤミートセンターを開き、30年間同地で営業している。地域を発展させることが地域の豊かさにつながると信じ、伊都国街道構想を立ち上げた。
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