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特別取材

グローバリゼーションのなかで 教職員・学生の適応力を高めたい~福岡工業大学・短期大学部・下村学長(5)
特別取材
2011年1月29日 08:00

学校法人 福岡工業大学・短期大学部 学長 下村 輝夫 氏

<重要なのは現場が何を考えているか>

 ―貴校の取り組みは、まさにフィロソフィーを体現されていますね。

 下村 おっしゃる通りで、大事なのは、人間力とともに基礎力だと思います。あとは数学、物理といった考える力です。たとえば電流とは何か、1アンペアとは何かという質問をされたときにきちんと考えることができるかどうか。根本的なことを考えきれるか、結果はどちらでもよく、むしろプロセスをしっかりと考えてきちんと説明できるかどうかが大切です。
福岡工業大学・短期大学部 学長 下村 輝夫 氏 今の子どもたちはコンピューター社会のなかで、いろいろな情報をコピー&ペーストして文章をつくれてしまいますが、やはり自分の頭で考えて、自分の言葉で話す。そして、やはりフェイストゥフェイス、最終的には個人と個人で顔を合わせることが大事です。こうしたインタビューもテレビ電話でできてしまいますが、やはり実際にこうして顔を合わせることで、それ以上の雰囲気がありますよね。それが絶対必要だと思います。その人に会えば、立ち居振る舞いとかその人の考え方がぶれないかどうかなどがわかることもあると思います。そこをきちんとしていきたいですね。
 あとはプレゼンスの問題。たとえば長々と話すのではなく、3分で話す、3点にまとめるなど、3の法則というか、そういうトレーニングも必要です。
 私が一番感心したのは、就職した4年生がその経験を3年生に伝えようとするクラブを今年から立ち上げたことです。人数は50名くらいですが、たとえばある話題について3年生に話させて、ここはこうした方が良いということを4年生が自主的に教えていくわけです。これは大変良いことです。

 ―教育のひとつの結果ですね。

 下村 あとは、大学がどうフォローして育てるかだと思います。今、学長と食事しよういう「学長ミーティング」というのをしていますが、私の発案です。ここでは、学生たちの要望や悩みを聞いています。

 ―具体的には、どのような相談案件がありますか。

 下村 たとえば、この大学に施設を見に行きたいとか、カリキュラムをもう少しまとめてほしいといったことです。学生の目線に立った取り組みですね。これは他の大学でも事例があると思います。
 あとは学内インターンシップですね。私や幹部クラスに付き添って、その人の仕事ぶりを見てもらうわけです。会議にも出てもらい、幹部の目線で学校運営を見てもらえれば良い経験になるでしょう。そうすると、面接のときなども視野が広くなると思います。できるだけそうした機会を学生に提供したいと思います。そういうことが「For all the students~すべての学生生徒のために」という経営理念の成就につながります。
 現場が何を考えているかが重要で、学長室にいても何もわかりません。あと、教職員には、学生たちは自分の子どもだと思って教えてほしいですね。

(つづく)

【聞き手:弊社ネット事業部リーダー 児玉 崇】
【文・構成:大根田 康介】

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