<二期務めて殿さま気取りになっていた平原さん!!>
1月30日の福岡・筑紫野市長選挙で現職の平原四郎氏が落選した。投票総数において、相手方・藤田陽三氏にわずか472票差で敗北した。この結果をどう見るか!!「惜しい!!惜敗残念だ」という立場の人もいるだろう。一方で、「勝つチャンスはいくらでもあった。二期市長を務めた実績による傲慢さが招いた必然的な敗北よ。まずは二期も市長職に就けただけでもハッピーと思えばよい。たいした仕事もできなかった奴だし」という冷めた意見もある。
筆者は後者の立場を取る。平原氏とは同郷という誼(よしみ)で役に立つ情報を提供してきたつもりだ。一期目は謙虚な姿勢を保っていたが、二期目になるとおべっか使いの連中だけで側近を固めて、人の話に貸す耳を持たなくなった。よくあることだ。こちらも嫌気がさして近寄らなくなっていた。だが、それでもさすがに「藤田氏が筑紫野市長選挙に立候補する」という情報をキャッチしたときは、「平原危なし」と判断したのでTELした。
本人に耳打ちしたのは、昨年10月の第1週目のことである。自民党福岡県連内部の動きを探っていたら、藤田陽三県会議員が主導権争いから外されることを耳にした。さらに深く取材をしていくと、「藤田氏の権勢はもう下り坂になるだけだ。福津市の市長になった小山氏(前・自民党県会議員)のような選択がベターだろう。藤田氏本人も真剣に検討しているようだ」という証言を得た。だからこそ、「フジタ氏が立つ可能性がありますバイ。気を引き締めないといけませんな」と平原氏に忠告した。
平原氏の反応は次の通り。「まさかー、藤田氏が立候補してくるだろうか。そんな影は微塵もない。今から準備しても時間がなかろう」と自信満々、相手にならないという感じを見せていた。「私が今までに誤りの情報を流しましたかね――」と皮肉を投げかけた。そうすると同氏は「もし立つなら、こちらとしては受けて立つしかない。かかって来い」という横綱相撲のような威勢を発した。こちらとしては「保守陣営が結束すれば、強い敵になるはずだがなー。甘く見ていると足元をすくわれるが、これ以上話しても無駄だな」とTELを切った。
<1カ月半して様変わり、強者への恐れに意気消沈>
いよいよ藤田氏が市長選に挑むことを決めたのが、11月20日過ぎだ。こちらとしても、もう興味本位でしかない。「平原市長!!藤田さんが決断しましたよ!!相手には時間が残ってないし、もう気にするライバルでもないでしょうが」と連絡してみた。ところが、1カ月半前とは形勢が様変わりしている。強気で鳴らしてきた平原氏のTEL先の声に覇気がない。恐れ慄きの雰囲気が伝わってきた。この時点で相手に呑まれているのだ。「これじゃー、負けるな」と直感した。
そして、結果的に472票差の惜敗である。恐れ慄かずに陣営を引き締めて必死で臨めば、勝利を得たはずだ。藤田陣営というか本人自身が、「まだ政治の世界から足を洗いたくない」という執念に燃えていた。それが472票差に繋がっていった。30日夜、藤田陣営には土建屋関係者だけが集まっていた。この光景を目撃した我が社の記者は「こりゃー、10年前に戻った感じだ」と奇声をあげた。平原事務所には、それなりの市民たちの顔ぶれが揃っていた。「二期8年でもう少し筑紫野市民に納得できる、印象を与える市政実績を残していたら圧勝できたものを」と後悔の念が先立つのは、筆者だけではないだろう。
最後に「市会議員に立ち戻ってから市長に再チャレンジしますか?」と質問したところ、「私は都城魂を持っているからそういうことはない」と平原氏は断言した。
【投票結果】
(有権者数)79,172名 (投票総数)35,655名 (投票率)45.03%
藤田陽三16,018票・平原四郎15,546票
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