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中洲バトルロワイヤル

中洲の飲み屋が「反転攻勢」へ~特捜NAKAZU最前線(1)
中洲バトルロワイヤル
2011年1月 7日 13:32

中洲 出口の見えない不況に喘ぐ西日本一の歓楽街・中洲―。企業は経費節減で交際費(接待)をカットし社用族が激減。一方で、ここ数十年の交通および通信インフラの発達は、同じく節約の大義のもと出張客を減らしめる環境を作った。遠方から来たビジネスマンが、仕事後に中洲で飲んで一泊するという風習もすっかり珍しくなっている。
 不景気は、世のお父さんたちの小遣いも直撃。飲み会は1次会(居酒屋)で解散。メインストリートの中洲大通りに人の往来が多くとも、飲み屋のなかは閑散としていることも珍しくない。さらに、土日も働くサラリーマンが増えたせいか、「花の金曜日」は都市伝説化し、週末も平日も関係なく、集客が読めない状況が続いている。

 「銀座が歌舞伎町になった」。すでに閉店した有名高級クラブのママは、中洲の変遷をそう嘆いたという。中洲ホステスの接客サービスよりも、質より量の手法が目立つようになり、中洲ブランドの低迷を招いた。"本質"が問われる時代に、赤字続きの店は今日1日を生き抜くことで頭が一杯となり、従業員・ホステスのリストラを断行。忙しいときだけ派遣コンパニオンに頼るという状況に陥った。
 派遣依頼という実績のない赤字店へは"残り物"の「派遣」がやって来る。しかし、"福はない"。水割りの作り方も知らない「派遣」、すなわち片道燃料もない特攻機が、店に突っ込んでくるのである。働く側も働かせる側も不幸、さらに言えばお金を払って素人接客(「たまにはそれがいい」という意見もあるが...)を受ける客も不幸。2010年は、そうした悪循環のなかで多くの店がもがき苦しむ1年だったのではないだろうか。

 しかし昨年末になって、そうした逆風に負けじと勝負に打って出るところが、不況スパイラルに陥った店のなかから現れ始めている。ある店は、過分だった「派遣」への依存を見直し、自前のホステスを雇いなおした。ある店は、年々増加している中国や韓国からの観光客を呼び込むべく、ホステスに日常会話レベルの教育を始めている。また、格安料金のキャバクラでは、中洲で4店舗を経営するMLHグループ(土屋社長)がボランティア精神や福岡・博多の歴史を勉強させるという取り組みを始めた。「中洲ならではのサービス」の追求が始まっているのである。
 与えられた環境のなかでベストを尽くす。文句を言ってもしょうがない。かつての栄華を支えてきた中洲経営者たちが目を覚ましだした。2011年は、そうした「反転攻勢」の年になるように願う。

 中洲バトルロワイヤルは続く。その変遷を『特捜NAKAZU最前線』という新シリーズでレポートしていきたい。ここでは「中洲」を「なかず」と発音する。「中洲は(閑古鳥が)鳴かず」という思いを込めて―。

【長丘 萬月】

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長丘 萬月(ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。


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