(株)連峰 代表取締役 與田 哲也 氏
<参入の余地はある>
尖閣諸島事件、反日デモなど日中関係がにわかに緊張している昨今。最近はアメリカによる元高圧力や人件費高騰、ビジネスマナーの拙劣などで中国から東南アジア諸国に生産拠点をシフトしている日本企業も増え始め、今回の一連の出来事はそれに拍車をかけているように見えます。つまり、チャイナリスクが再び顕在化してきたように映ります。
たしかに中国が抱える問題は根深いものがありますが、一方で経済成長のスピードは一時期の猛烈な勢いは衰えたものの、変わらず成長を続けており、規模では世界第2位の経済大国になるのは間違いありません。その購買力は依然、マーケットとして有望で、日本企業の参入のチャンスはまだ残されています。
また、富裕層(人口比率にすればまだまだ低いですが)が急速に増加しているなか、環境問題にも関心を寄せる傾向が強まっています。日本から見ればおかしいかもしれませんが、京都議定書では「発展途上国」になっている中国は、今後は環境問題とりわけエネルギー問題を解消すればするほど、CO2排出権を確保することができますから、中国が環境分野、エネルギー分野に力を注ぐことは容易に想像できます。
高度成長期に公害問題を克服した日本の環境技術を、中国は喉から手が出るほど欲しがっているはずです。また和食、日本の農産物など中国人の評価は依然として高く、参入のチャンスはまだあります。
日本人が中国でビジネスするときに、最大のネックになっているのは何でしょうか。
中国ビジネスに失敗した人々が口を揃えて言うのが、「中国人は約束を守らない」「平気で人を騙す」「働かない」というものです。これは日本人の間で人口に膾炙(かいしゃ)されている中国人のイメージでしょう。だから、中国でのビジネスはうまくいかないと思い込むのも無理はありません。
しかし、私の体験上では知り合った中国人のほとんどの人が「信義を守る」人々ばかりでした。中国人とは腹を割って付き合えば、互いに信頼関係を築き、暖めることができることを確信しています。たしかに、なかには嘘をつく、騙すような中国人もいるでしょうが、そういう人が日本人に皆無というわけでもないでしょう。それは日本人側にも問題があるからではないでしょうか。これまで体験したなかで、そう思うようになりました。
私自身、数年前から始めた中国ビジネスではまだ成功しておらず、むしろこれまで色々な失敗を経験してきました。そうした体験のなかから見えた中国ビジネスの本質をこれから述べたいと思います。
【杉本 尚大】
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(株)連峰
代 表:與田 哲也
所在地:福岡市博多区千代3-3-4
設 立:1988年
資本金:2億3,830万円
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