NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

『牛丼戦争』もグローバル化の時代へ(2)
特別取材
2011年1月25日 09:52

<吉野家が牛丼戦争の主役である背景>

牛丼戦争 吉野家ホールディングスは、今年1月6日、2011年2月期の業績予想の修正を発表した。売上高は前期比3%減の1,750億円の予想を据え置いたが、経常利益は前回予想の27億円を21億円上回る48億円に修正。最終利益も1億円から5億円へ修正した。

 同社は前期、営業損益段階からの赤字に転落し、減損損失の計上もあったことで、大幅な最終赤字を計上していた。このため、安部修仁氏が社長に復帰する人事を断行。また今期に入ってからも、既存店舗での売上高減少を理由としてマスコミが苦戦を報じていただけに、一般には意外な印象があったようだ。だが、業績改善の予兆はすでに今期の上半期(2010年3月~8月)の段階で出ていた。物流の効率化などのコスト削減が奏功し、第一四半期を底として第二四半期から反転攻勢する体制は整っていたのである。上半期中には営業キャッシュフローが大幅な黒字に改善されており、同時に牛鍋丼の開発とマーケティングも進められていた。下半期に入っての牛鍋丼投入による業績底上げも、ほぼ予定通りと言ってよい結果となったことで、業績の上方修正予想となった。

 会社更生法申請という挫折を味わった1980年から30年間、同社は収益モデルの1つとして、1店舗1億円(月商830万円)で16~17%の経常利益率を確保するスタイルを採ってきた。だが長引くデフレ不況から、収益モデルも変革を余儀なくされている。同社が現在模索しているのは、月商が従来の半分程度でも成り立つ新たな店舗モデルだ。デフレ環境下で低迷する内需に対応するモデルを、ここ2年程で構築したい意向である。

 吉野家は1899年創業の、言わずと知れた牛丼業界の老舗企業で、会社更生法の申請から復活してきた企業としても知られている。吉野家と言えば単品主義。牛丼へのこだわりは周知であり、そのこだわりがファンを惹きつけてきた面もある。米国産牛肉へのこだわりも、今のところ求めるスペックにあるのが米国産しかないとの理由からだ。

 単純な値下げ競争には与しないとの考えから、他2社とは価格設定の面でも一線を画している。牛鍋丼を開発し、低価格の新商品として投入したのも、牛丼に対するこだわりの裏返しともとれる。吉野家らしさを残しながら時代に対応していくことが、現在の同社に求められているものだ。

 また現社長の安部氏は、アルバイトから社長にまで上り詰めた立志伝中の人物。BSE問題のときには、品質維持への思いから米国産牛肉へのこだわりを見せ、店舗から牛丼が消え再び登場するまでのストーリーは社会現象にまでなった。牛丼戦争が語られるとき、常に吉野家を中心に語られるのは、その歴史的背景もあり、圧倒的なブランド力とコアなファン層の厚みからだろう。

(つづく)

【緒方 克美】


*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


特別取材一覧
特別取材
2011年6月24日 07:00
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル