学校法人 福岡工業大学・短期大学部 学長 下村 輝夫 氏
福岡工業大学は06年度から4年連続で入学志願者が増加。10年度は入学定員830名のうち、入学志望者が4,519名、入学者は1,086名となった。そうしたなか、2010年10月1日付で、福岡工業大学・短期大学部の新学長に下村輝夫氏が就任。さらなる飛躍を目指す同校の2011年について、下村学長に話を聞いた。
<生き残りを決める適応力>
―学長就任から3カ月経った今の心境は。
下村 基本的には変わっていませんが、就任会見のときに言い忘れていたことがありました。それは、当校の事務局スタッフが非常に優秀だということです。当時、ここに来たばかりのときはそれが分からず、「外見がきれいです」「駅が近いです」ということだけ言っていました。スタッフの何が優秀かというと、理事長以下のコーポレーションガバナンスが確立していたことが大きいですね。私は以前、国立大学にいましたが、国立の課長や部長はだいたい3年サイクルで変わっていきますので、共通認識を持つのがなかなか難しかったですね。
大学の良し悪しを決めるのは、教員の当たり外れよりも事務局の当たり外れが大きいというのはどの大学も同じで、スタッフがいかに優秀かで変わると思います。
―そうした舞台のなかで、海外の方にも行かれているということですが。
下村 アメリカのサンフランシスコに「サンフランシスコ・ベイエリア大学間連携ネットワーク」、略称「JUNBA」(Japanese University Network in the Bay Area)という、カリフォルニア州立大学を中心としたベイエリアの大学と、その周辺に事務所を持つ日本の大学がコラボレーションする組織があります。これまでアメリカがけん引してきたグローバリゼーションのなかで、改めてアメリカの教育というものが普遍性を持っているのかということを見直しています。
日本も、これから必ずグローバリゼーションの波に洗われていきますから、そこに対応が遅れた大学はついていけません。ダーウィンの「適応力が優れたところだけ生き残る」という言葉にもあるように、これからはアメリカ、ヨーロッパ、アジアの3極でそれぞれ留学生の獲得を始めたときにどのようにして適応し生き残っていくかを考える必要があります。
また、「PISA」(Program for International Student Assessment)という、OECD加盟国の15歳を対象とした国際間の学力検定が数年前に行なわれましたが、日本が意外と下位だったために教育界にショックを与えたことがありました。それの大学版をいずれ行なうということで、世界各国がどの程度のレベルなのかを計るわけですが、工学と経済学はある程度指標が立てやすいのです。
そこで日本が弱いのはディベートの部分、つまり物事を分析しディスカッションすることですね。そういうものをきちんとしていかないと国際化に負けるでしょう。
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