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特別取材

『牛丼戦争』もグローバル化の時代へ(4)
特別取材
2011年1月27日 12:22

<財務面が良好な吉野家と松屋、規模を追うゼンショー>

 ここでは3社の前期決算を基本に財務内容を見てみよう。数字はいずれも連結である。

吉野家 吉野家HDの財務内容は強固であり、借入金も少ない。10年2月期の有利子負債は195億円であり、総資産に対する依存度は18%台、月商倍率も1.3カ月相当と適正なものだ。自己資本比率は近年低下してきているものの10年2月期では54%台を維持しており、純資産額は611億円と安定性は優れている。BSE問題のときに、品質へのこだわりから一時的に主力商品の牛丼を休売しながらも、その期間を乗り越えることができたのは蓄積した豊富な内部留保があったためだ。潤沢な現預金に支えられていた面が大きく、資金の減少に耐えながら事業展開を図ることができた。おそらく同社以外では同様の策を取ることは不可能だっただろう。

すき家 ゼンショーは、積極的な拡大戦略により牛丼チェーン3社のなかではトップの規模を誇る企業となったが、一方で財務面はもっとも劣る。3社中、借入金の依存度はずば抜けて高く、10年3月期での有利子負債は1,378億円で、総資産に対する依存度は約60%に及んでいる。月商倍率でも5カ月相当と借入金の多さは課題である。このため自己資本比率も14%台と低水準だ。積極的な拡大路線をとり急成長を遂げた同社だが、一方でデフレ時代には重たい借入金を背負う格好となっている。
 
松屋 松屋フーズはここ3期の業績推移を見ても、売上高が610~620億円水準で、経常利益は25億円前後で安定している。また借入金も少なく、10年3月期での有利子負債は115億円と総資産対比で24%程度。月商倍率でも2.2カ月相当と適正範囲内に収まっている。このため、自己資本比率も良好な数値を残しており、60%水準で推移している。ただし、新たな事業の柱を構築する必要性は感じているようで、とんかつ業態や鮨業態の店舗を化拡大していきたい考えだ。現在の約800店を中期的には1,000~1,200店に増やしていく方針であり、とくに店舗網として手薄な関西地区を重点地域に位置付けている。当面、50~70店を1年間に出店していく意向だ。

 ゼンショーは昨年12月、外食世界一を目指し、2020年のグループ売上高は8,000億円を目標にすると発表した。これまでも積極的なM&Aにより、外食産業グループでは日本一の規模を誇るところにまで急成長してきた同社だが、さらに展開を加速させる方針だ。目指す方向性は3社の違いが徐々に鮮明になってきているが、国内での「牛丼戦争」が日本の枠を飛び出しグローバルな争いになっていくことは明らかだ。現時点までの海外戦略では吉野家が大きくリードしているが、今後はとくに中国市場を中心に「牛丼戦争」は展開されていくことになる。

牛丼3社の業績比較


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