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グローバリゼーションのなかで 教職員・学生の適応力を高めたい~福岡工業大学・短期大学部・下村学長(8)
特別取材
2011年2月 1日 09:30

学校法人 福岡工業大学・短期大学部 学長 下村 輝夫 氏

<大学が衰退産業と言われるなかで>

 ―教員の方に対しては、どのような対応をしていきたいですか。

 下村 若手・中堅の教員の話をきちんと聞くことが大事です。なぜなら、彼らはこれから15~20年と当校で働くからです。
福岡工業大学 私が国立大学にいたとき、法人化したことで40代の教員から「これからどうなるのですか」と質問されたことがありました。若い人はこれから道がありますし、年配の人は定年を迎えるまで耐えれば良いのですが、その中間は谷底に落ちたような気持ちになったのでしょう。この年代が、一番危機感が強いのです。次の10年は彼らが背負っていきますから、ここの意見をおさえておくことは非常に大事です。
 余談ですが、国立大学が法人化して一番わからなかったのは、財務に関することです。簿記を勉強しなければならなくなったのですが、P/SもB/Sも意味がなく、キャッシュフローが大事だとわかりました。あとは労働基準法の勉強です。こうしたことは、工学系はあまり勉強しませんが、経営者という立場になったためにいろいろと学びました。他の経営者の方に話を聞くと、「やはり人が大事」だと口を揃えておっしゃいます。モノ、カネよりも人をどう育てるかが肝心だということです。

 ―最後に、2011年を迎えるにあたっての意気込みをお話しください。

 下村 国立も公立も私立も競争が激しくなりましたし、おそらく九州や日本という市場だけで捉えていてはダメでしょう。やはり、国際化の波のなかでどう生き残っていくかが重要です。海外からどれくらい、留学生に限らず学生を呼び込むことができるか、それにかかっていると思います。
 ある有名な話では、数年前からEUが数百億円を使って非英語圏の各国の学生を集めだしたということがあります。それに対抗して、アメリカが同じようなことを始めました。ハーバード大学で日本人留学生が減っているからもう少し増やしてほしいというのは、アメリカの戦略なのです。東大が博士後期課程の授業料を無料にしたのは、学生の海外への流出を防ぐために東大が数十億円を使った結果です。
福岡工業大学・短期大学部 学長 下村 輝夫 氏 今は中国からの留学生が日本に来ているという感覚ですが、中国が豊かになれば、今度は日本から中国に留学するようになるでしょう。そこで大学の国際化が進んでいるかどうかで、生き残れるかどうかが決まります。
 ここで気を付けなければならないのは、文系と違って理系は技術の海外への流出を防がなければならないということです。日本企業でも、インターンシップに行く先で、材料系は必ず断られます。材料はノウハウの固まりだからです。
 財団法人日本総合研究所の寺島実郎さんが衰退する産業として3つ挙げられました。1つは新聞社、もう1つは商店街、そして最後が大学です。日本の大学生だけ相手しているところは必ず潰れるとおっしゃっていました。
 それぐらい、日本の大学は苦しい状況にあるという危機感を持って、これからも当校の経営に当たっていきたいと思います。

(了)

【聞き手:弊社ネット事業部リーダー 児玉 崇】
【文・構成:大根田 康介】

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