「地域振興」や「まちづくり」を考えるうえで、ポイントとなるものはいったい何か――。3名の専門家にお集まりいただき、座談会を行なった。
<「企業」の協力が不可欠>
蓼原 やはり、まちづくりをするうえでは「地域のリーダー」というのがすごく大事です。今、佐藤さんがおっしゃられたようなイベントというか、何かをみんなでやることによって、そのプロセスのなかでコミュニティが生まれ、そこからリーダーが生まれる――そういうアプローチももちろんあると思います。
もうひとつ、やはりこれからは「人生80年」です。
そこで、「60歳で定年を迎えて80歳まで元気に働く」というふうに考えますと、結局企業を離れた後の20年間は地域と関わるということなんですよね。そうすると、その20年間の人生をどのようにプランニングするかというのが、非常に今大事なことなのです。
この20年間を幸せに生きていくためには、やはり意識を変えていかなければなりません。すると、その意識を変えるスタートを、どこにするかが重要なんですよね。
結局、60歳からその後の20年間幸せな生活を送るためには、当然それよりも前に意識を変えておかないと、そうなっていきません。そうすると、「どのくらい前に意識を変えるか」というと、結局、「在職中」なんですよね。企業に在職しているときに意識を変えるチャンスがないと、定年になってから「さぁ、意識を変えようか」となっても遅いのです。
ということは、在職中に意識を変えるチャンスを得なければならないのですが、そのためには、当然ながら「企業の経営者の協力」が要るということです。
私も、いろいろな啓発――たとえば「温暖化を防止しましょう」とか、「省エネをしましょう」などと呼びかけたりするのですが、個人に呼びかけてもそこには本音と建前があります。つまり、「そうね」「大事よね」「やらなきゃいけないよね」と、皆さん言っていただけるのですが、実際の行動はほとんどとらないんですよね。それが現実だと思います。
ですが、企業がひとつの会社の方針――会社の指示として、「我が社は、省エネをやるんだ」というようになれば、皆さんちゃんと電気も消したり、省エネをするようになるのです。
そのように、会社の経営者と社員とのそういった上下関係をうまく利用すれば、在職中に各人の意識変革を行なうようなことも可能でしょうし、定年後に「地域リーダー」として地域にしっかりと関わっていけるような人材育成というものができるのではないか、と思っています。
【坂田 憲治】
<参加者> | |
NPO法人えふネット福岡 専務理事 蓼原 典明 氏 |
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(株)環境デザイン機構 代表取締役 佐藤 俊郎 氏 |
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(株)地域マーケティング研究所 代表取締役 吉田 潔 氏 |
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