<キーワードは安心・安全・高品質+有機(下)>
3つ目のカテゴリーは「美容」だ。この分野は去年の後半から出てきたカテゴリーだが、高付加価値商品の売れ行きがすごく伸びている。青汁は上海ではまだ1店舗しか取り扱われていないが、リピーター率70%以上と言われている。コラーゲンドリンクは上海のある百貨店で、化粧品売り場全体の70%の売り上げを占めたそうで、爆発的ブームとなりつつある。購買層は、日本や外国に留学経験のある月収15万円程度の30歳代OLらしい。ただ、コラーゲンドリンクは、中国では食品にも化粧品にも分類されておらず、政府によって売ることができない商品になりはじめている。今年は厳しい環境に置かれるかもしれない。
最後のカテゴリーは「贈答」分野だ。中国は贈答文化が栄えている国だ。旧正月のこの時期、日本の商品はすごく売れる。日本の米や酒はとくに人気が高い。ナマコやアワビなどは通常1カ月3万円程度しか売れないそうだが、12月~2月にかけては、1カ月に300万円も売れるという。1年の80%をこの時期に稼ぐという業者もあるそうだ。あのハーゲンダッツが中国ではここ8年ぐらい苦戦していたが、ある時期に「アイス月餅」を発売したところ、1年の売り上げの50%が「アイス月餅」でまかなわれた店があるらしい。「贈答」という分野は研究してみる価値があるのではないか。
このように、売れている商品を4つに分類してみたが、複合させるとなお良いし、輸入品はさらなる付加価値を出し続けないといけないので、こういう観点からビジネスを考えてみるとおもしろいかもしれない。
<ヒットさせる売り方を考える>
中国の小売市場では、使ってはいけないNGワードがある。日本で通用しても、中国では通用しない言葉の数々。たとえば、「ロングランヒット中」「100%安心安全」「超レア、知る人ぞ知る商品」「この商品にニセモノはない」「国際特許取得、商標登録取得」などなど、枚挙にいとまがない。
1つずつ説明すると、中国ではひとつの商品がロングランヒットするという事象は極めてまれだ。中国では、「王老吉(ワンラオジー)」というドリンク剤と、ビンに入ったラー油ぐらいではないか。単品で勝負するのには極めて難しい土地柄なのが中国なのだ。だから、ロングランヒットを考えずに、定期的に新たな商品を投入する「連続ヒット」を狙っていった方が無難だ。また、「100%」という言葉には、中国政府は敏感だ。中国の基準は厳しいので、余計な文言を入れたせいで輸入規制がかかることもあるため注意が必要だ。「超レア」な商品は、中国人には受けない。中国では、売り上げの大きさ=信用とも言われている。このあたりの考え方は独特なので、超レアなものはニセモノと思われても仕方がないのだ。
ただ、ニセモノについては、中国人の考え方には2通りあって、1つは模造品、もう1つは本当のニセモノ。本物にこだわりすぎると、逆に損をすることもある。ニセモノが出た結果、本物が3倍売れるというケースもあったりする。中国人にニセモノを作らせるぐらい、この商品は良いものだという考え方もあるので、そのあたりは柔軟にいきたい。また、特許とか商標登録とかはまったく通用しない。ニセモノに食われる市場というのはたしかにあるし、仮に裁判をしても、無駄なお金を投じるだけで、損害賠償金を勝ち取れる補償はまったくない。
以上を踏まえると、「中国人にとっては、中国の商品は悪くないものもあるんだ」ということを理解するのが大事ではないかと思う。
【文・構成:杉本 尚大】
チャイナビジネスは地方の時代へ~元ヤオハングループ会長・和田一夫氏特別講演会
【日 時】 2月10日(木) 17:00~(会場受付16:30)
【会 場】 福岡国際会議場(福岡市博多区石城町2-1 TEL:092-262-4111)
【講 演】
17:00~17:30
中国全国人民大会 代表・中国民間商会 副会長
合肥市政府商務局使節団メッセンジャー
金 会慶 氏 「中国・安徽省の現状と可能性」
17:30~18:30
(株)和田総研 代表取締役社長(元ヤオハングループ会長)
和田一夫 氏 「チャイナビジネス成功の秘訣とは」
【懇親会】 18:45~20:00(両名も参加されます)
【会 費】 講演会5,000円(定員200名)
懇親会3,000円(限定150名、申込先着順)
※ご入金確認後、参加証をFAX致します。
【問合先】福岡アジアビジネス研究会事務局 矢野・楢﨑
(福岡市博多区中洲中島町2-3-8F、TEL:092-262-3388)
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