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2011統一地方選挙

地方軽視、議会と乖離するパラドックス~知事候補者選定、混迷の理由(下)
2011統一地方選挙
2011年2月 4日 10:57

 麻生太郎氏や財界、知事の推す小川洋氏と自民党県連の主流派が擁する蔵内勇夫県議との抜き差しならない対立が顕在化したのは先月下旬のことであった。この段階で突如、動き始めたのが、山崎拓氏や財務省が推す谷口博文氏である。喧嘩両成敗となれば、第三の候補が必要となる。谷口氏が統一候補になりうると谷口氏支持派は考えた。蔵内・小川両陣営の非和解的な対立を利用して、いわば漁夫の利を狙ったのだ。民主党の推薦をほぼ取り付けている谷口派は、自民党にも推薦願いを出すことによって、統一候補としての可能性があるのは谷口博文氏であるとの仮象を演出した。谷口候補の出身官庁である財務省も公然と動いた。小川洋氏を推す経済産業省と同様に福岡の財界に圧力をかけたのである。これによって西日本シティ銀行の頭取である久保田勇夫氏が七社会の席上で谷口氏支持を鮮明にした。自民党の知事候補者選考委員会の直前というタイミングに合わせた動きは、一気に谷口氏を候補者のひとりとして押し上げることになった。

福岡県議会 三者の対立は奇妙なねじれを伴っていた。谷口氏を支持する山崎拓氏と近い早麻県議や武藤県議は小川候補擁立で動く。小川氏を主張する商工会議所に近い松山参議院議員は、古賀派に属しているために蔵内氏支持となる。さらには昨年夏の参議院選挙で蔵内氏などに推されて自民党公認の参議院候補となり当選を果たした大家敏志参議院議員は、当選後、麻生派に属しているため立場上、小川氏支持となる。民主党・連合や公明党・創価学会も各陣営にそれぞれパイプを持っている。28日の選考委員会で結論が出なかったのもある意味、当然といえよう。
 28日の自民党選考委員会が次回に持ち越されたことによって、民主党や公明党もまた態度を明確にし得えなかった。ここで小川陣営が動いた。谷口氏支持で固まったと言われる民主党に2日、小川氏もまた公認願いを出したのだ。これに対して3日、谷口氏は福岡市を訪れていた民主党石井議員と会談、民主党・連合の自らへの支持の一本化を訴えた。そんなものは自民党の候補選考条件ではないのだが、必死になってくると何も見えなくなるらしい

 この奇妙な三すくみの状態はいつまで続くのか。そもそも知事候補者が各会派の統一候補でなければならないという主張は、ある意味で統一候補者の選定を強く望んだ福岡県の財界や麻生知事の発想である。現在の中央の政局を考えれば、そのような方向性に固執することは、まったくもって民意と相反することといってよい。県民は選挙を望んでいるのである。
 中央官庁OBが知事の座に就き、そのパイプを利用して行政を推し進めるスタイルは、議会との良好な関係を前提とする。もし小川氏や谷口氏が知事になれば、議会の多数派とシコリを残すことになる。小川氏にしても谷口氏にしても、地元を無視した中央官庁の落下傘候補であることは否めない。福岡県の政界を少しでも知っていれば、財界や麻生渡知事、そして麻生太郎氏や山崎拓氏の影響力だけで知事候補に選んでもらえるとは考えなかったはずだ。しかし、彼らは自民党地元県連や古賀誠氏との調整が重要だということに思いを馳せることさえできなかった。その行動は最初から地方軽視の感覚に貫かれていたといってよい。自らを知事選候補者として確立するために動けば動くほど、議会と乖離(かいり)していくというパラドックスに小川氏、谷口氏は気づいているのであろうか。

 大多数の県会議員の彼らを見る目は冷たい。

【勢野 進】


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