九州を旅行する中国人や韓国人客に向けた「九州の観光ガイド本」が、九州内の空港や、主要なホテルに今月から設置されている。このガイド本は西日本新聞社と東京地図出版が発行したもので、中国語版が「暢遊(ちんゆう)九州」、韓国語版が「九州エソ・ノルジャ」(それぞれの国の言葉で、九州で遊ぼうという意味)。各10万部ずつ発行し、その8割を中国・韓国の旅行代理店窓口で、九州への観光客向けに無料で配布している。九州内の設置場所は九州内の全空港、約30カ所のホテル、JR九州の旅行代理店など。手のひらサイズで、九州の観光名所の説明に加え、地図や買い物情報などが書かれている。
福岡市中洲に近いIPホテル福岡は年間宿泊者数の約1割がアジアの客だ。このホテルには各10数部ずつ設置したが、韓国語版は、あっという間に残り2部になった。広報担当者は、「中国では旧正月にあたるこの時期、中国からの観光客も多くなっている。中国語と韓国語対応のスタッフもフロントや飲食店に配置しているので、今年はアジアの観光客を取り込んでいきたい」と語った。
日本政府観光局の調査では、2010年に九州を訪れた外国人観光客は、調査開始以来初の大台100万人を突破すると試算している。そのう9割は韓国・台湾・中国といったアジアからの観光客が占めていて、地理的な要因のほか、中国発大型クルーズ船の寄港増加が影響していると見られている。ただ、中国人・台湾人の割合は全国平均をそれぞれ下回っていて、九州は観光地として優先されていない実態がある。九州の観光地は、今後さらに情報発信力を高める必要に迫られている。
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