<エリート官僚たちの情報音痴に呆れる>
いやー、面白くなった。福岡県知事選は三すくみの様相を呈してきた。『蔵内・小川・谷口』の三者に各人各様の動機でもって後押しする連中が集団化している。ここまでくると、自民党・民主党の推薦を得られなくとも、三者とも誰ひとりとして知事選への立候補を断念することはないだろう。逃亡は即、信用失墜、社会的抹殺を意味するからだ。当事者たちにとっては血みどろの戦争になるだろうが、福岡県民にとって選択幅が無限にあり、興味津々の注目選挙になる。
ところで、どうして財務省出身(まだ現役)の谷口氏と経済産業省出身の小川氏の高級官僚OBがガチンコ対決にエスカレートしてしまったのだろうか(しかも2人は修猷館高校の先輩・後輩の間柄)。その伏線には、エリート官僚たちがまったくの『情報音痴』という漫画チックな事実がある。
まず、経済産業省サイドの官僚たちの認識はこうだ。地元財界=九電・ガス・西鉄・JR九州など行政統制業種へ「OBの小川を頼む」と根回しをする。財界のお歴々は逆らうわけにはいかない。次に、遠い昔のOBである麻生知事が小川氏を後継者として動いてくれる。そして「地元で圧倒的な人気のある麻生代議士がサポートしてくれることですべて万々歳で収まる」と結論を下すのである。
馬鹿ではないか!!「麻生知事はとうの昔に政治生命が断たれていること」も知らない。「『麻生代議士には福岡では熱狂的なファンがいる』とどうしてそんな勝手な思い込みをする」のであろうか。どういうルートで情報収集をしているのか理解不能だ。
一方の財務省も似たり寄ったり。「西日本シティ銀行の久保田頭取が谷口氏の高校・大学・役所の先輩として画策してくれているから財界対策はまずOK。政治的には山崎拓先生が力強い後押しをしているから大丈夫」と分析する。「久保田頭取ひとりが福岡財界を統率できるわけがない」ということくらい察知できないのか!!「もう山崎爺さんの政治生命が一かけらもないことを認知できないのか。呆れてしまった」となる。そして、官僚出身の小川・谷口両氏は、引くに引けない激突選挙に突入してしまうのである。
<女性の嫉妬よりも政治家のそれは100倍力>
「女の嫉妬は怖い」というのは昔の慣用句。現在の女性たちは「男そのものに対して期待もしないし舐めきっている」から嫉妬することもない。嫉妬する行為とは「熱烈な愛情」とは裏返しの関係にあると言える。現在の女性たちは締まらない男へ「熱烈な愛情を注ぐ」という無駄なエネルギーを消耗するようなことはしない。非常に利口である。
ところが、嫉妬に燃えれば理性も教養もかなぐり捨てて戦いに臨むのが政治家たちである。ことは簡単だ。とりあえず、彼らの顔を立ててやれば良いだけのことである。「どうか小川氏を福岡県知事選に立ててくれませんか」と根回しすれば済むのである(裏金の必要はあるかもしれない)。こういう顔を立てる作業工程を省略したからこそ、高級官僚2人の顔の潰し合いの事態にまで発展したのだ。
高級官僚たちも、またこのコーナーでたびたび指摘してきた「殿様・麻生代議士」も、自民党県会議員たちの気性の理解を怠った。「政治家たちの嫉妬は女のそれよりも100倍怖い」という鉄則の情報収集にたいして無知過ぎたのだ
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