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敵は己にあり人材教育こそ企業成長の礎~一蘭 代表取締役社長 吉冨氏(3)
特別取材
2011年2月 9日 07:00

(株)一蘭 代表取締役社長 吉冨 学 氏

<ブルーオーシャン戦略の実践企業>

 ―しかし、高めの価格設定で今後、デフレを乗り切れますか。

 吉冨 1杯290円や380円といったラーメンチェーンも多数ありますが、弊社のブランドは違ったカテゴリーにあると考えます。これを、とある経済学の専門の方は「一蘭はラーメン業界における典型的なブルーオーシャン戦略のお手本になる企業だ」と言われています。

 ―「ブルーオーシャン戦略」とはどういう意味ですか。

 吉冨 「競争のない市場を創出する企業戦略」という意味です。しかし、今後も今の設定価格でやっていくには、常にイノベーションや差別化などさまざまな工夫をし続けることが必要だと思います。その1つが、昨年4月にオープンした天神西通り店ですね。

 ―あの店舗は、地元でも話題になりましたね。

(株)一蘭 代表取締役社長 吉冨 学 氏 吉冨 西通り店では全国の一蘭のなかでも、唯一ここでしか食べることのできない『釜だれとんこつラーメン』という新しいとんこつラーメンを提供しています。
 これまで一蘭の味に慣れ親しんでいただいている地元福岡の方々はもちろんですが、観光客の多いエリアなので、ビジネスや観光の方、全国からいらっしゃるコアな一蘭ファンの方にも大変喜んでいただいており、おかげさまで順調に売上を伸ばしています。

 ―今後、新しいブランドを出す予定や、上場計画、多角経営、異業種への参入、M&Aにご興味はありますか。

 吉冨 現在のところは、まったくありません。上場も多分しないと思います。ただ、おかげさまでこれだけ組織も大きくなり、従業員の数も増えてきたため、会社の柱が一蘭の運営1本という点ではまったく不安がないわけではありません。天然とんこつラーメン専門店としてのブランド価値を毀損しない範囲で、何か別の柱となるものがあれば検討したいとは思っています。ただしその場合は、別法人を設立することになるでしょう。

 ―お手本にされている企業、経営者の方はおられますか。

 吉冨 私は人生において、人との出会い、出来事との出会い、本との出会い、それぞれすべてに学ぶことがあると考えます。良い方からは良い面を学び、悪い方は反面教師とし、これまで知識や経験を得てきました。ですので、私にとってはこれまで出会ったものすべてが師匠のようなものです。

 ―私も実際にラーメンを食べさせていただいていますが、最近取り組んでいるこだわり食材などはありますか。

 吉冨 美味しいとんこつラーメンをつくるためには、厳選した良質な素材を使うことが必須となります。たとえば味の要のスープに関して言えば、使用する豚(豚骨)がどこでどのように育てられ、何を食べて大きくなったかまで知っています。そうして運ばれてくる豚骨も徹底した温度管理の下、最高の品質を保ったまま製造に入るのです。

 ―そこまで管理されているのですね。味はずっと変えないのでしょうか。

 吉冨 スープは骨の部位ごとにスープを取り、組み合わせを変えるなどして、日々、美味しくなるように微妙に変化させています。常に美味しいラーメンを追求しています。

 ―最近、ラーメン店で福岡県産のラー麦を導入する店舗が増えていますね。

 吉冨 ラー麦の導入については、弊社は福岡の皆さんに育てられ、ここまで大きくなりましたので、地元への恩返しという気持ちを込め、早い段階から技術提供などさまざまな面で積極的に協力してきました。そして、でき上がった福岡県産の小麦から一蘭のラーメンに合う細麺を製造し、一昨年より中洲店、昨年より太宰府店でも導入しています。

(つづく)

【文・構成:矢野 寛之】

<プロフィール>
(株)一蘭 代表取締役社長 吉冨 学 氏吉冨 学(よしとみ まなぶ)
1964年12月生まれ、46歳。北九州市若松区出身。若松高校、第一経済大学卒。93年9月に1号店となる「一蘭那の川店」開業。95年12月に(有)一蘭として法人化し、代表取締役に就任。福岡のみならず、東京、大阪にも店舗を構える福岡を代表するラーメン店に育て上げた。

(株)一蘭
所在地:福岡市博多区中洲5-3-2
設 立:1993年5月
資本金:4,000万円


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