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敵は己にあり人材教育こそ企業成長の礎~一蘭 代表取締役社長 吉冨氏(5)
特別取材
2011年2月11日 07:00

(株)一蘭 代表取締役社長 吉冨 学 氏

<NY出店で優秀な人材が入社>

 ―ところで、ニューヨーク店は好調でしょうか。今後の海外戦略も含めてお教えください。

 吉冨 07年にニューヨークに現地法人を設立し、ブルックリンに店舗を構えていますが、現在は不定期オープンです。マンハッタン店の正式なオープンへと向けて動いておりますが、日本とアメリカでは使用できる食材にも大きな違いがあるため、日本と変わらない美味しさを実現させるために、現在もなお原材料の調達や味の研究を進めています。おかげさまで、すでに会員様は数千人に上っているので、その会員様を集めての試食会も折を見て行なっております。
(株)一蘭 代表取締役社長 吉冨 学 氏 十数年、個人的に親交のある某日本人メジャーリーガーのフロリダのキャンプ中の食事サポートおよび栄養管理を、弊社の研究室チームが数年前から引き受けています。フロリダには良い食材がないみたいで、そうした面からも海外展開の難しさを痛感しています。
 ですが、ニューヨークに店舗を構えたことで知名度も上がり、名門大学を出た優秀な人材が一蘭を支えてくれるようになりました。その効果を期待したいと思っています。また、正式オープンに向けて、新たにマンハッタンで候補地の選定をしているところです。

 ―なるほど。ところで、中国をはじめとしたアジアへの進出の可能性は。

 吉冨 最近では、アジア地域をはじめ海外進出する企業が増えておりますが、当社は『味集中システム』など一蘭独自のブランドができているため、必ずしも未進出地域に一番に出店する必要はないと考えています。まだまだ国内でも要望が多いにも関わらず出店できていない地域がありますので、まずは国内での認知と店舗数を広げていくことが先決だと思っています。
 とはいえ、人あっての店舗ですので、数字だけを追う店舗展開はせず、人の成長に合わせて出店していければと考えています。

 ―最近では海外、とくにアジア地域からの観光客が増えています。そのような方々への対策はされていますか。

 吉冨 一蘭では15年以上前の96年頃よりすでに、日本語のほか、英語、中国語、韓国語の3カ国語のオーダー用紙を導入しています。さらに、外国人観光客の多い一部店舗では、店舗入口に利用方法を英語で表記するなどの対策をとっております。
 現在もいくつかの外国語ガイドブックへの広告出稿をしておりますが、今後もアジアを中心とした外国からのお客さまはまだまだ増加すると思いますので、PR展開を含め、そうした方々にご来店いただけるよう取り組んでいきたいと思います。

 ―今日はお忙しいなか、どうもありがとうございました。

(了)

【文・構成:矢野 寛之】

<プロフィール>
(株)一蘭 代表取締役社長 吉冨 学 氏吉冨 学(よしとみ まなぶ)
1964年12月生まれ、46歳。北九州市若松区出身。若松高校、第一経済大学卒。93年9月に1号店となる「一蘭那の川店」開業。95年12月に(有)一蘭として法人化し、代表取締役に就任。福岡のみならず、東京、大阪にも店舗を構える福岡を代表するラーメン店に育て上げた。

(株)一蘭
所在地:福岡市博多区中洲5-3-2
設 立:1993年5月
資本金:4,000万円


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