ところで、当時(2007年~08年頃)の政治情勢は、私にとってとても厳しいものでした。いわゆる『自民・民主の2大政党時代』、いつも「自民党か民主党か」といわれていた時代でした。特に定数2の選挙区では、自民党と民主党という既成政党が議席を分け合ってきました。07年の統一地方選挙後の参議院選挙でもその傾向が顕著でした。
そのような政治情勢に時にはイライラし、気落ちしたりする日々が続きましたが、ある時、書店で1冊の本を見つけました。篠原文也さんの著作「政界大変動」(PHP研究所)という本でした。そのカバーには、「自民vs民主体制が日本を不幸にする」「国民=有権者の力でいびつな政治体制を終わらせよう」というフレーズが書いてありました。あまりに刺激的でしたので、購入し読み進めました。
本の内容は「自民党も民主党もどちらも分裂したり、解体したりして、政界再編が必ず起こるし、起こさないといけない」ということだと解釈しました。この本の出版は、07年6月11日ですから、世のなかは、自民・民主の2大政党時代、民主党の掲げる政権交代が何か世のなかを良くするかのごとく錯覚をされていた時代でした。現在の政治状況を鑑みれば著者は、大変先見性のある方だと思います。
先輩議員からもらった手紙に「得意淡然、失意泰然」、往年の大物政治家、川島正次郎氏の口癖でもあった「政界は一寸先が闇」と書いてありました。その言葉を胸に、己を磨き、研鑽を積んで「来るべき時を待とう」とまい進してきました。
現在、地方自治にとって大きな節目が訪れていると思います。政治情勢は、民主党政権に対する大きな失望と憤り、また自民党に対する不信、篠原氏の言葉を借りれば、擬似2大政党制を打ち壊し、哲学と理念に基づいた政界再編・政党の再結集の時期にさしかかっていることです。13年までに衆議院選挙と参議院選挙がありますから、今年の統一地方選挙は、現状のままの政治情勢でいいのか―、21世紀の変化する時代にふさわしい政治体制を求めていくのかが問われる選挙であると思います。
また、地方自治そのものにおいても、「分権改革をどのように進めていくのか」が問われています。今までは、「国と地方の関係をどうしていくのか」いわゆる国の権限と財源を地方に委譲していくことが主眼でしたが、(もちろん市町村合併のように地方自治体の改革も当然行なわれてきましたが―)今度は、市町村と都道府県の関係をどうしていくのかということがひとつの大きな焦点になってきます。
【堀 宏行】
<プロフィール>
堀 宏行 (ほり・ひろゆき)
昭和63年、福岡県立修猷館高等学校を卒業し、平成元年、早稲田大学法学部に入学。平成6年1月より、当時、衆議院議員であった山田宏 前杉並区長の政策秘書を務める。平成6年3月、早稲田大学卒業。平成8年11月、衆議院議員であった鈴木淑夫氏の政策秘書を務める。平成11年4月、福岡県議会議員に初当選。以後、2期8年務める。
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