岩崎 (中央集権官僚制度、中央大企業重点主義的な製造業を中心とする輸出大国政策)この2つの勝ち組の制度が、実は日本が負けている理由ではないかという思いを私なりに地方目線で訴えました。前総務大臣として、そうした目線で地方再生のあり方について何かございますか。
原口 私もまったく同じ認識を持っています。金融に近ければ近いほど、ニューヨークに近ければ近いほど価値が高いという状況がずっと続いています。2005年にニューヨーク連銀で、いまアメリカの財務長官をされているティモシー・ガイドナーさんとエンデの遺言という話をしました。エンデというのは、ドイツの童話作家のミハエル・エンデのことですが、彼はお金を腐らせればいいと言いました。結局、1929年はこのテーブルくらいのものをこの部屋全体の価値だと見誤ったのです。リーマン・ショックもそうです。サブプライムローンもそうです。
資本主義社会においても、本当はお金をどこかで土に還す、リデュースさせるシステムをつくらなければならないという話をしました。しかし結局、彼らもサブプライムローンをコントロールできなかったわけです。
そうすると何が起こるか。貧富の格差、紛争の極大化が生まれるのです。それを私たちは、この政権になって"緑の分権改革"ということで基本を変えようとしているのです。それはスマートグリッドとエネルギーです。たとえばエジプトでは、ナイル川をコントロールできた人間がファラオと呼ばれました。太陽の光を固定化して人間が使えるように、、とくに植物を地産・治水で大量にコントロールできた人間が権力者となりました。集中的に、大規模的に、独占的に、排除的に。これを中国でやった人は皇帝と呼ばれました。
鹿児島は薩摩藩のとき77万石ということですが、これはすごいことです。77万石というのは、エネルギーをコントロールできる量を示していたのです。このパラダイムが変わるのが、浦賀にペリーが来たときです。あれは、地下のエネルギーを取り出した人たちによる、地上のエネルギーを使っている人たちへの挑戦です。エネルギーのタイムカプセルを使った人たちが勝つに決まっています。しかし、パラダイムは変わらないのです。これを変えるのが緑の分権改革です。
たとえば、ヨーロッパでは500人とか1,000人でも豊かな街はいっぱいあるじゃないですか。江戸時代は、鹿児島や新潟が一番豊かだったのです。それはなぜか。命を育むものをつくっていたからです。これができるためには、1人2kwのきれいなエネルギーに高い価値を持たせる。これが固定価格の買い取り制度です。いま法律は動いています。
そうすると何が生まれるか。いま私たちは、21兆円を外に対しエネルギー代を払っています。そのうち5兆円がこの九州をまわったと考えてみてください。私たちの地域を地域通貨や地域を育む社会のお金でまわったと考えてみてください。私はこれを「創富力」と言っています。これはいろいろなところで起きています。私が生まれた佐賀県は太陽光が日本一なのです。スマートグリッドと組み合わせることで、地域にお金がいくシステムへ変わっています。私はその先頭に、この塾が立っていただけるよう期待します。
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