16日、福岡県議会本会議で、麻生渡知事が自ら後継指名をし、政党、経済界などへ積極的に働きかけたとされる一連の経緯について、自民党県議から質問が行なわれた。質問を行なったのは、自民党福岡県連青年局長を務める鬼木誠 県議。同県議は、県議会における麻生知事との最後のやり取りを「千秋楽、結びの一番」にたとえ、質問を始めた。
「町村会事件による引責辞任にもかかわらず後継指名をするのは、満身創痍で土俵にあがるベテラン力士に重なるものがある。千秋楽、7勝7敗で角番がかかった大関に勝たせてあげたいのも人情だが、八百長が厳しく非難されるご時世、『時間いっぱい、待ったなし』。ここはガチンコでぶつかり、福岡県議会のチェック機能の面目躍如たるところを見せたい」。
このくだりから始まった鬼木県議の質問は、麻生知事が推す小川洋氏が経済産業省(以下、経産省)のOBであることについてや、民主党へ小川氏の推薦願い取り下げを働きかけたとされていることに関するものを含んでいた。
答弁に立った麻生知事は、小川氏の擁立に関して経産省との関係性を否定。一方で、民主党への働きかけについては「県民党として幅広い支持を集めるため、政党の推薦をどうするかが"われわれ"で問題となった。そのことを民主党の方に説明したことはある」と、説明した。また、全国町村会長と副知事の贈収賄へ発展した町村会事件について、麻生知事は「最も遺憾とするところ」としたものの、「なんとかいい知事を誕生させたい」という想いから、後継指名(知事選)は別問題といった考えを示した。
鬼木県議は「そもそも地方分権の旗手であった知事が、自分の後継に官僚を指名する、経産省が推す候補に財界が瞬時になびく、結局、官僚支配ではないか。何が地方分権だ。地方のことは地方に任せられないのか」と、痛烈に批判。さらに「(麻生知事は)経済産業省への働きかけは否定したが、自民党本部も問題視している。国会の委員会に場所を移して追及する」と、述べた。
"土俵の様子"を見物していた県議たちからは、拍手と野次が入り乱れた。座布団は飛ばなかったものの、時折しどろもどろになっていた感のある麻生知事の答弁を見るに、一矢報いたかたちとなったのではないだろうか。さらに、この質問には知事選と絡めてTPPに対する麻生知事の態度に関する内容も含まれた。
【山下 康太】
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